進む食肉価格高騰 相場に左右されぬ収益力を 基盤作りへ「がまんの年」 スターゼン

食肉の価格高騰が進んでいる。とりわけ今春に急上昇した米国産牛肉の仕入れコストはコロナ禍で悪化する外食の経営環境にとって追い打ちに。影響が広がりつつある。

「ここまで上がるとは、当社も業界も想定していなかった。とくに米国産牛肉の卸売価格上昇は過去にないペース。中国の需要拡大に加え、コロナで生産が不安定化していることによるダブルパンチが来た」。食肉卸大手・スターゼンの横田和彦社長が26日の決算会見で吐露した。

外食チェーンで使われることの多い米国産ショートプレート(牛バラ肉)の卸売価格は、2月まで㎏当たり700円台で推移。だが3月以降は急騰し1千円の大台に。直近では1千133~1千170円をつけ、6年ぶりの水準を記録した(農畜産業振興機構調べ)。このほか和牛や豚肉、鶏肉などの価格も上昇基調で推移している。

穀物相場上昇に伴う飼料価格の高騰とともに、世界的な食肉需要の拡大が大きな背景。なかでも中国の牛肉輸入量は、この10年で20倍以上に増えた。また昨年来のコロナ禍で米国食肉工場の稼働率が低下したほか、干ばつによる豪州での牛肉生産低迷も、高騰に拍車をかけている。

農畜産業振興機構が3月上旬にかけて実施した調査によれば、今後1年間の輸入牛肉の販売価格について「値上げする」と回答した卸売企業は54%と最多。同様の回答は、産地別では米国産が59%と首位を占めた。

ただ、「アイテムによっては50%以上上昇しており、最終価格に単純に転嫁するのは難しい。外食企業との間で、メニューや量目の変更も含めて割高感を抑え買い上げ点数を減らさない工夫を行っているところだ」(横田氏)と話す。

スターゼンでは「相場に左右されない収益力の強化」が今期のテーマ。

「厳しい事業環境の中、事業を拡大するため、やみくもに売上げ・数量を追求するのではなく、いま一度基礎固めを行う必要がある。今年は『がまんの年』と位置付け、事業基盤を盤石にし、収益力を高めて安定的に稼げる体制を構築する」(同氏)。

自社の機能強化による付加価値向上と、ローコスト経営が2本柱。プロセスセンター併設型営業拠点の整備や、一部営業拠点を物流機能に特化するなどして、営業の効率化とともに高付加価値商品の開発を加速する。

また新設した物流本部による全社横断型の物流改革で、いわゆる「物流の2024年問題」に対処。ICT技術を活用した意思決定迅速化を軸とする「Zeus DXプロジェクト」と合わせて、ローコスト経営の推進につなげる構えだ。