3店舗閉店した丸山珈琲がみせる反撃 スーパーとECで存在感 “コーヒーの味覚識別能力はスイーツなどにも通ず”でOEMにも意欲

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で昨年、12店舗のうち3店舗(鎌倉・長野・表参道)を閉めた丸山珈琲。

その丸山珈琲が現在、スーパーとECで反撃ののろしをあげている。

同社は昨年、店舗運営はこの先も計画通りにはいかず、コロナが終息したとしてもライフスタイルや消費動向は変わっていくと判断。店舗中心の運営から、スーパーなどへの卸売とECに注力する方針へと転換した。

「店舗中心だった頃は“待っていればお客様が入ってくる”ビジネスだったが、コロナで来店客数が減っていく中で方針を転換。消費者に寄り添って様々な場所で買えるようにしていくことが重要」と4月27日取材に応じた丸山健太郎社長は語る。

小売用商品の「カジュアルシリーズ」(丸山珈琲)
小売用商品の「カジュアルシリーズ」(丸山珈琲)

この考えの下、昨年、営業部を増強して組織体制を改め、スペシャルティコーヒーの打ち出し方やパッケージのあり方などこれまでのやり方を抜本的に見直した。

「日本でのスペシャルティコーヒーの先駆者として、おいしいスペシャルティコーヒーを日常生活で飲めることを実現していく使命もある。シングルオリジンなど高級なものは手を伸ばしづらいことから、品質を落とさず企業努力によって手にとりやすい商品設計を心がけた」という。

小売用商品は「カジュアルシリーズ」とワンランク上の「スペシャルティマイルドシリーズ」のレギュラーコーヒーがメインとなる。

小売用商品の「スペシャルティマイルドシリーズ」(丸山珈琲)
小売用商品の「スペシャルティマイルドシリーズ」(丸山珈琲)

これに加えて一部の売場や百貨店などではECとの兼用でリキッドコーヒーらラテベース(濃縮コーヒー)も販売している。

「カジュアルシリーズ」は、5袋入りドリップバッグ(税別599円)3種類と、100g豆(税別399円)3種類、「スペシャルティ・マイルドブレンド」は、5袋入りドリップバッグ(税別898円)1種類と、100g豆(税別463〜740円)5種類をそれぞれラインアップしている。

「パッケージもコーヒーカップのシズルを入れるなど工夫を施した。これからも学びながら開発していく。これまで、限られた方向けのものをつくりがちだったが、スペシャルティコーヒーという言葉を知っているかどうかは置いておいて、家庭内需要が高まる中で“もう少しおいしいコーヒーを飲みたい”という潜在的な需要はある」と商機を見出す。

営業本部でスーパーを担うのは第1営業部。各地域に根ざしたリージョナルスーパーを中心に導入拡大を図り、ここでの売上比率を現在の22%から35%に引き上げていく。

スーパーを起点とした裾野拡大としては、ロッテの「チョコパイ」とのコラボに期待をよせる。

丸山珈琲所属の鈴木樹(みき)バリスタとコラボしたロッテ「チョコパイ」のパッケージ裏面
丸山珈琲所属の鈴木樹(みき)バリスタとコラボしたロッテ「チョコパイ」のパッケージ裏面

「チョコパイ」は昨年、巣ごもり消費の加速で好調に推移し、ロッテが消費者調査を行ったところ“チョコパイとコーヒーを一緒に楽しむ”消費動向が判明。これを受けロッテがジャパン・バリスタ・チャンピオンシップで史上初となる3度の優勝を果たした丸山珈琲所属の鈴木樹(みき)バリスタとコラボ。鈴木バリスタがおうち時間での食シーンを監修、「チョコパイ」のパッケージと「チョコパイ」のブランドサイトでコーヒーとのペアリングを推奨している。

これにより「誰もが知っている『チョコパイ』で丸山珈琲を知ってもらうことができる。当社のコーヒーとともに陳列して下さっているスーパー様もある」という。

商品開発の今後の方向性としては、コーヒー関連商品での定番化を挙げる。

「コーヒーカステラ」(丸山珈琲)
「コーヒーカステラ」(丸山珈琲)

「昨年10月に発売した『コーヒーカステラ』の売れ行きが好調で看板商品になりうる。コーヒーは商品力があるので、コーヒー関連商品で定番になるようなものを育成していきたい」と意欲をのぞかせる。

直近では、丸山珈琲のブレンドを使用した「ティラミス ラングドシャ」を5月にECで販売する。
スーパー向けにはOEM生産での拡大を視野に入れる。

「これまでスーパー様からのご提案で展開していたのを今後は当社主導で企画しOEM生産で幅広い層にアプローチしていく。一方、直営点とECでは数量限定の高単価商品を引き続き展開していく」。

スイーツなどコーヒー関連商品の開発も鈴木バリスタをはじめ丸山珈琲の社員が手掛けている。

“餅は餅屋”と言われるが、コーヒーのプロは他分野への応用が可能だという。

「コーヒーの味覚識別能力は食品の中でも高レベルで横にも広げられる。考え方を抽象化してコーヒーから食物・飲食のおいしいものを提案できる会社へと発展させていきたい」と語る。

スーパーとともに第3営業部が担当するEC比率も現在の21%から40~50%に引き上げていき、将来はスーパーとECの合算で90%を占めるようにしていく。

なお第2営業部はコーヒー生豆、第4営業部はアジアを中心とする海外を担当する。

インスタグラムやツイッターを活用したコミュニケーションにも注力していく。

「厳しい環境に置かれたときは“手数”が大事。何かしら行動しているという賑やかしが重要で、そうしていかないとシュンとしてしまう」という。

このように幅広い消費者に寄り添う活動を展開する一方で、文化・芸術面へのアプローチを行いブランドも磨いていく。

5月1日には別府アルゲリッチ音楽祭とのコラボレーション商品として、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチの世界観をイメージしたオリジナルブレンドを直営店とECで期間限定にて発売開始した。