縮小のボトル缶市場に新ブランド投入のワケ コンセプトは「特別な豆の、特別なブラック」 UCC

UCC上島珈琲はコーヒー飲料で新ブランド「ORIGIN BLACK」を立ち上げダウントレンドにあるボトル缶コーヒー市場に挑む。

その理由について、13日発表した紙谷雄志マーケティング本部飲料マーケティング部飲料ブランドカレントチームチームマネージャーは「ペットボトル(PET)コーヒーが台頭する中、缶コーヒーのコク(濃さ)や苦みのニーズを非常に重要視している。しっかりとブランドと容器容量の棲み分けを図り積極的に缶コーヒー市場を盛り上げていきたい」と説明する。

市場環境については、ブラックカテゴリーの中でボトル缶はPETとほぼ同じ約4割の市場構成比を占めていることと本格コーヒーを嗜好するヘビーユーザーから高く支持されている点に着目。

コク・プレミアム・嗜好性へとシフトしている外食トレンドにも商機を見いだす。

「コロナ禍で消費者の意識の変化もみられ、ちょっとした贅沢、高付加価値への期待がうかがえるようになった。ご家庭でのレギュラーコーヒー(RC)の飲用機会が増え、コーヒー飲料(RTD)のスタンダードもRC品質基準になってきている」との見方を示す。

ブラックカテゴリーの味わいニーズを細分化して各ユーザーの嗜好性にあわせた品質を訴求していく考えだ。

「ORIGIN BLACK」のコンセプトは「特別な豆の、特別なブラック」。

これをベースとし、ブランド第一弾となる「ORIGIN BLACK ブルーマウンテン&モカ」(275㎖ボトル缶)は「コーヒー専業メーカーであるUCCにしかできない産地に特化した香料無添加の新プレミアムブラックで、コーヒーにとって二律背反するコクとキレをRCのみで実現し贅沢で上質な味わいになっている」。

コーヒー豆はブルーマウンテンコーヒーとエチオピアモカ(モカ ベレテ・ゲラ産コーヒー)をブレンドし、コーヒー量は通常品の1.2倍使用した。

焙煎は単品焙煎を導入し、ブルーマウンテンは浅煎りで上質なキレを際立たせる一方、エチオピアモカは中煎りしてフルーティーで爽やかなコクを引き出している。

さらに抽出にもこだわり「缶コーヒーで苦み、酸味のバランス、コクをどう表現するか研究所と試行錯誤を重ねてレギュラーコーヒー100%・香料無添加でやり遂げた」と胸を張る。

パッケージは産地を想起させるアフリカン・エスニック模様のデザインを施し「期間限定感と高級感を打ち出した」。

ターゲットは上質を好み、上質を手軽に楽しみたい40~50代男性。税別178円の希望小売価格で5月17日から期間限定発売。

紙谷雄志氏㊧と中平尚己氏(UCC上島珈琲)
紙谷雄志氏㊧と中平尚己氏(UCC上島珈琲)

今回の新ブランドの立ち上げには、昨年、試験的に販売した「UCC BLACK ブルーマウンテン&キリマンジァロ」(275㎖ボトル缶)の手応えが後押しとなった。「贅沢感が味わえる商品として非常にご評価いただいたこともあり、今回、ストーリーと付加価値を加えて『ORIGIN BLACK』を立ち上げた」と振り返る。

同商品を通じてコーヒー産業のサステナビリティも推進。モカベレテ・ゲラ産コーヒーはコーヒー発祥の地とされるエチオピアの森に自生する野生のコーヒーで、UCCがJICA(国際協力機構)の「エチオピアベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト」への参画を通じて同コーヒーの栽培技術の指導や品質向上の支援にかかわっている。

コーヒーの発祥の地とされるエチオピアには今もなおコーヒーの原生林が残っているが、現金収入を得るために森の木々が伐採され、環境破壊が懸念されている。

コーヒー産地に精通する中平尚己農事調査室室長は「エチオピアはかつて国土の50%が原生林だったが現状は10%を切っている」と警鐘を鳴らす。

これに危機感を覚えたエチオピア政府が日本政府に保護を依頼しJICAが03年にエチオピアベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクトを発足。

UCCは11年にJICAの依頼を受け同プロジェクトの調査員として現地に入り、以来、森林を守りつつ生産者が生計を立てられるように、コーヒー栽培の技術指導や、品質向上、モチベーションアップのための品評会の開催など活動を行っている。

UCCグループでは、11年に初めてベレテ・ゲラ産コーヒーを製品化して展開を続けている。

この活動は、コーヒーを通して、SDGsの№1「貧困をなくそう」、№8「働きがいも経済成長も」、№13「気候変動に具体的な対策を」、№15「陸の豊かさも守ろう」、№17「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に貢献できる取り組みと位置付けている。