三井農林はこのほど、体験型ECサイト「nittoh.1909」をグランドオープンした。ここでは、お茶に関するコラムを多数掲載しているほか、ここでしか購入できない珍しい茶葉や旬の茶葉を販売している。オンライン体験型コンテンツも見どころの一つ。世界の茶園や工場をライブでつなぎ、自宅にいながらにして誰でも楽しめる内容となっている。
「普段お茶を飲まれない方でも、直感的に魅力を感じてもらえることを心がけている。グランピングやバーチャルの海外旅行が流行っているように、何か新しいことを始めたいワクワク感に応えることが、結果的にお茶や紅茶の飲用層(間口)拡大につながると考えている」と語るのはイベントを担当する伊藤万里さん。
3月27日には、プレオープンイベントとしてセイロンティーの名産地・スリランカのペドロ茶園を訪れるオンライン茶園ツアーを実施した。ペドロ茶園は、スリランカの中央山岳地帯の最高地とされる標高2千mのヌワラエリヤにある。

「遠方で、さらに高地にある茶園に、茶園見学だけのために訪れる機会はそうない。それをオンラインで1時間ほどで疑似体験できるようにした」という。
ツアーでは、500ha以上にも及ぶ広大な茶園を背景に、茶園の特徴やクオリティシーズン(お茶の旬)を迎えた茶摘み風景などを紹介した。
「茶園の風景を綺麗に見せるファーストインプレッションから始まり、製茶工場やテイスティング風景をテンポよくつなぐライブ感を打ち出したところ、大きな反響をいただけた」という。
参加者には、同茶園でクオリティシーズンに製造されたリーフティーのサンプルを事前に配布し、当日、紅茶を楽しみながら視聴できるような趣向も凝らした。「終了後、アンケートを実施したところ『お茶の味がひとしおおいしく感じられた』とのコメントをちょうだいした」とし、特別な時間の演出に手応えを得る。
ツアー実施に当たっては、現地との入念な打ち合わせとリハーサルを繰り返して臨んだ。商品担当の中村康太さんは「当社はスリランカ・インド・ケニアなど8か国430茶園から茶葉を買い付け、各所で長くお付き合いさせていただいている。今後はダージリンや国内の茶産地ツアーも展開したい」と意欲をのぞかせる。
三井農林の旗艦ブランドは「日東紅茶」で、日常的に飲まれる紅茶のイメージが定着する一方、特別感の創出や紅茶の深い世界への誘導が課題となっていた。会社創業年(当時は三井合名会社)と「日東」をローマ字にすることで世界を視野に入れて命名された「nittoh.1909」では、同社が長年培った知見と技術を駆使して「いま、ここでしか出会えない商品、体験を提供していく」ことに重きを置いている。

「nittoh.1909」の運営を率いる日比崇弘さんは「お客さまとのコミュニケーションを通じ、商品開発やイベントなどの企画を実施していくために『nittoh.1909』を立ち上げた」と語る。
商品は、同社専属のティーテイスターが監修する「TEA CREATOR(ティークリエイター)」、各産地の旬な味を集めた「Tea Estate(ティーエステイト)」、原料と抽出技術を徹底追求した「Cold Brew Tea(コールドブリューティー)」の3つのカテゴリーをラインアップしている。
今後の展開については「オンラインならではのイベントを通じ、会員とともにお茶の世界をつなぎ、茶産業の盛り上げも図っていく」考えだ。
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