ペットボトル 繰り返し再生でCO2削減 「だからゴミ扱いしないで」飲料業界がお願い

ボトルtoボトル比率12.5%→50%を宣言 全国清涼飲料連合会

ペットボトル(PET)を何度も再生して新たな化石由来資源使用の削減と二酸化炭素(CO2)排出削減につなげる取り組みが加速する。

飲料の業界団体である全国清涼飲料連合会(全清飲)は4月19日、ボトルtoボトル比率を19年の12.5%から30年までに50%へ高めていくことを宣言した。

ボトルtoボトルとは、使用済みPETを何度もPETに循環させるリサイクル手法。

使用済みPETを繊維や食品トレイにして一度だけ再利用するカスケードリサイクルに比べて、繰り返し利用できるという点で環境にやさしい手法とされる。

繰り返し使われる再生PETは、新たに化石由来資源を使ってつくられるバージンPETと比べて56~63%のCO2削減が期待され、今回の宣言は飲料業界一丸となったCO2削減宣言とも言える。

19日都内で発表した全清飲の米女太一会長は「日本、世界が目指していくサーキュラー&エコロジカル・エコノミーを引っ張っていく非常に大きな有効手段だと考えている。われわれが産業を代表して宣言することでさまざまな業界団体さま、政府、社会との会話を始めるきっかけにしていきたい」と語った。

(左から)全清飲の米太一女会長、河野敦夫専務理事、那須俊一企画部長
(左から)全清飲の米太一女会長、河野敦夫専務理事、那須俊一企画部長

河野敦夫専務理事は宣言の意義について「中間処理・再生業界(リサイクラー)への需要増大へのメッセージになり設備増強を後押しする。宣言自体が啓発広報の強化にもつながる。また、自治体との連携強化により使用済みPETの回収効率向上と品質向上の促進につながる」と説明した。

永続的なPETからPETへの水平リサイクルには、使用済みPETの品質向上が不可欠となる。

そのため飲料業界では「使用済みPETをゴミ扱いしないで」「使用済みPETを回収するリサイクルボックスをゴミ箱扱いしないで」といったお願いを啓発活動で呼びかけている。

19年度のPETの有効利用率は98%。その内訳はリサイクル量が85.8%、焼却時に発生する熱エネルギーの回収量(サーマルリサイクルの量)が12.5%となっており、この熱回収分をリサイクルのルートに移行してもらえるように自治体や消費者に働きかけるとともに、事業系回収の品質向上に取り組む。

PETの総回収量は、自治体(市町村)回収分が46%を占め、自販機横のリサイクルボックスなどの事業系回収が54%を占めている。

「市町村回収分は家庭から排出されているため品質が高い。事業系が大きな課題であり、『ボトルtoボトル東京プロジェクト』は理想とする回収モデル構築の第一歩」と述べるのは那須俊一企画部長。

「ボトルtoボトル東京プロジェクト」では、昨年から今年2月にかけて実証実験を実施。PET・ラベル・キャップの3分別回収の可能性を探る新デザインのリサイクルステーションと、使用済み容器を下から入れる構造の新リサイクルボックスを都内各所に数日間設置した。

この結果、いくつかの箇所で3分別や異物低減の効果が得られ、今後はロケーションごとにリサイクルステーションとリサイクルボックスを使い分けて検証を進めていく。

「これまで自販機横のリサイクルボックスには異物が3~4割入っており、キャップ・ラベルをはがすレベルには至っていない。まずはリサイクルボックスの異物を減らし、その先にリサイクルステーションの世界にもっていきたい」(那須企画部長)との考えを明らかにした。

リサイクルボックスに缶・PETの飲料容器以外の異物を入れたりする行為やタバコの吸い殻を入れた飲料容器などを投入する行為は、水平循環リサイクルを成り立たなくさせるだけでなく、ゴミ回収のためだけの訪問を余儀なくされるなど自販機オペレーションの阻害要因にもなっている。

全清飲が昨年1千人を対象に意識調査したところ、普段、街中でPETや缶以外のゴミが出た場合、53%が「自販機の横にあるボックスに捨てることが多い」と回答した。

また「ゴミ箱ではなくリサイクルボックスであることを知っていたか?」の問いには、4割強が「知らなかった」と答えた。

使用済み容器を下から入れる新デザインのリサイクルボックス
使用済み容器を下から入れる新デザインのリサイクルボックス

これを受け、全清飲は脱ゴミ箱化を目的に、使用済み容器を下から入れる構造の新リサイクルボックスを開発。

下から入れる構造にして遠くから投入口が見えないようにすることで、ゴミ箱と認識されないようにし、自販機利用者の6%が「入れたことがある」と回答したコンビニコーヒーやカフェチェーンのプラスチックカップなどの異物投入を阻止する。

昨年11月16日から22日にかけて、渋谷駅と恵比寿駅周辺に20台の新リサイクルボックスを設置して実証実験したところ、異物混入率は旧リサイクルボックスの43%から29%への低減が確認された。

これにより「異物混入率が大幅に低減できるということで、今年から汎用的なリサイクルボックスの新しい形のあり方として検討を進めている」(河野専務理事)。

一方、リサイクルステーションは、オフィスや工場などのスペースに余裕があるインドアへの設置を想定し、従業員や経営者らに「一歩進んだ分別・回収」として啓発していく。

飲料市場約4兆円のうち、容器別でPETが占める割合は75%。

PETが生命線であることから、業界ではかねてから世界でもトップレベルのPET回収率(19年93%)とリサイクル率(19年85.8%)を維持している。

全清飲ではさらなる環境負荷低減を目指し、18年11月に、2030年までにPETの100%有効利用を目指すことを宣言した。

今回は、その中で特に課題となっていたボトルtoボトルに着手。

これにより、化石由来資源からの生産プロセスで発生するCO2と廃棄処分で発生するCO2の排出を削減。「ボトルtoボトルも加工段階でCO2が発生するが、新規化石燃料を使用した生産に必要なCO2と比べるとはるかに少ない」(那須企画部長)という。