政治の「二面性」に戸惑う

奈良県の明日香村には、仏教が日本に伝来して花開いた飛鳥時代の史跡や遺跡が数多く残る。その一つ橘寺は聖徳太子の生誕地とされ、境内には岩の両側に人の顔を彫刻した「二面石」が鎮座する。

▼無垢な顔つきをした「善相」と大きく歪んだ「悪相」があり、人の心の表裏を現していると言われる。現代の「二面性」という言葉は、仏教に由来するかは知らないが、相反する二つの要素を有する、主に人に対してのネガティブな表現に使われることが多い。

▼最近の政治にも二面性を感じる。一向に収まることがない感染拡大に対して、大阪府が3度目の緊急事態宣言を要請すれば、東京都も突然要請に舵をきった。そしてGo Toトラベル推奨派からは、今度はオリンピック中止の可能性をほのめかす発言が聞こえはじめた。

▼表面的には分からなくても、物事には二面性はつきものだと言えばそうかもしれない。ただ後手後手の対応策の中での急な「やってる感」に、国民は戸惑うばかりだ。