「麒麟 発酵レモンサワー」 発酵果汁で香料不使用に 800万ユーザー獲得狙う キリン

コロナ禍を機に、より顕在化した健康意識などを背景にキリンビールは16日、缶チューハイ(RTD)「麒麟 発酵レモンサワー」を発売した。昨年投入の「麹レモンサワー」に続く高付加価値品で、グループ内の3研究所が初めて合同で開発に当たった。

継続的に上昇してきた国民の健康意識は、コロナ禍を契機にさらに高まった。特に食への意識は強まり、中でも発酵食品に注目が集まりつつある。万田発酵が昨年5月に発表した調査では、「以前より食べる機会が増えた食材」の上位品目のうち、3品目に発酵食品が入っており、さらに9割が発酵食品を取り入れたいと回答している。

また同社によると、身体に悪いものの摂取量を控える「レスの健康価値」から、発酵食品など身体に良いものを摂り入れたいという「プラスの健康価値」への関心が上昇する兆しがあるという。

これらを踏まえて同社は昨年10月、「自然とつくる、人に心地いいお酒」をコンセプトに据え、味わいと健康感を両立させる高付加価値RTDカテゴリーを立ち上げ「麹レモンサワー」を発売。目標の3倍となる約112万箱(250㎖×24本/箱)を出荷した。購入者は非購入者に比べて、平均購入単価、購入本数ともに多く、付加価値に反応している可能性もある。

「麒麟 発酵レモンサワー」は、レモン果汁を酵母発酵させて生みだされる55種の香味成分を生かすことで香料・酸味料・甘味料を不使用とし、アルコール感も低減。自然なおいしさを実現したという。発酵レモン果汁を使った香料無添加の缶入りサワーとしては世界初(同社調べ)。

発酵技術を生かしたRTDという発想は20年来温めてきたものだが、通常品より煩雑な工程が多くコスト高だったことに加え、適切な発酵条件の見極めに時間がかかっていた。今回はビール・RTD・技術の3研究所が合同することで商品化を実現。アルコール分7%以上の競合品と比べた調査では、同社史上最高の味覚好意度を獲得。

レモンフレーバーは食中酒として人気が高くRTD内最大勢力だ。16年時点でも構成比は31%だったが、昨年は家庭での食中需要が後押しして44%となっている。

高付加価値商品群の投入で、おいしさと健康感を両立させたRTD新市場創造を狙っており、このカテゴリーへ約800万人の新規流入を見込む。

RTD市場は昨年も前年比111.6%で着地。13年連続の伸長だった。昨年10月の酒税改正で第3のビール(新ジャンル)が増税され、RTDとの価格差が開いたことも追い風となった。キリンビールは市場を上回る112%だった。