コーヒー飲料 コロナで変化する働き方や嗜好に対応 ブラックとラテで各社強化の動き

大手飲料メーカーのコーヒー飲料ブランドで、コロナ禍で変化する働き方や嗜好に対応した取り組みが顕著となった。

デスクワークなどでONタイムに求められるコーヒーニーズの変化に着目したのは「ファイア」(キリンビバレッジ)。

増田健志マーケティング部部長代理ブランドマネージャーは「10分程度休憩するといった「OFFからON」という瞬発的なONではなく、仕事をしながら「緩やかなON」から「強めのON」へ移っている」と述べ、この現代のONモードに対し、嗜好性と止渇性を兼ね備えたペットボトル(PET)コーヒー中味設計や大容量が合致したとみている。

PETコーヒー「ファイア ワンデイ ブラック」は昨年、前年比約10%増の販売実績を記録。今年は「ワンデイ ブラック」の好調要因でもある独自価値に微糖の要素を取り入れた新商品「ワンデイ ラテ微糖」を加えて成長に弾みをつける構えだ。

「ラテ微糖」はコロナ禍で加速する健康意識の高まりに対応。「調査したところPETカフェラテユーザーの約60%がカフェラテの甘さに罪悪感を抱いていることが分かり、RTDコーヒーの最大間口であるラテ市場に微糖という健康軸を提案していく」という。

これに対し、ブラックを軸足に微糖にアプローチするのは「タリーズコーヒー」(伊藤園)。

井上信一マーケティング本部新ブランド育成・コーヒーブランドグループ商品チーフは「ボトル缶を強みに、ブラックコーヒーを主軸としていく。ボトル缶の派生品はすべてブラックを基点とし、ブラックに「少しだけ足す」といった考え方やブラックの細分化で取り組んでいく」と説明する。

ブラックで微糖に挑む「タリーズコーヒー バリスタズ微糖・BRAZIL」(伊藤園)
ブラックで微糖に挑む「タリーズコーヒー バリスタズ微糖・BRAZIL」(伊藤園)

この考えの下、微糖のボトル缶「タリーズコーヒー ブラジル 100%CLEAR BITTER」を刷新し「同 バリスタズ微糖・BRAZIL」の商品名に改めて4月5日に発売する。

「『CLEAR BITTER』でも一部「甘く感じる」といったお声を頂戴し、甘さをさらに控える微糖を考えるにあたって、レギュラーコーヒーユーザーがブラックの次に好む「少しだけ砂糖」「少しだけミルク」に着目して競合品とは立ち位置を変えてコーヒーの味わいがしっかり感じられる設計にした」と胸を張る。

家庭用レギュラーコーヒー市場がコロナ禍の外出自粛で昨年4月に急伸し安定的に拡大していることも各社の戦略に影響を与えた。

「タリーズ」と同じくコーヒー専業のUCC上島珈琲もブラックに注力。「PETコーヒーユーザーの味覚の基準がレギュラーコーヒーになってきている」(杉山繁和取締役副社長)との見方からレギュラーコーヒー本来の香り高さや味わいを追求した「UCC BLACK COLD BREW」を3月22日に新発売した。

ボトル缶でレギュラーコーヒーを意識するのは「ワンダ」(アサヒ飲料)でボトル缶「ワンダ極」に商機を見いだす。

河口文彦マーケティング本部マーケティング一部コーヒーグループグループリーダーは「家庭でレギュラーコーヒーなど非RTDコーヒー飲料に触れられた方がコーヒーの嗜好的な部分を再認識されて、ペットボトルよりもそれに近しいおいしさをボトル缶で感じられていると思う」と述べる。

「ジョージア」(コカ・コーラシステム)と「ボス」(サントリー食品インターナショナル)のメガブランドは全方位の構え。

昨年、鬼滅缶で沸いた「ダイドーブレンド」(ダイドードリンコ)は「鬼滅缶で取り込むことができた新規顧客に対し中長期的にダイドー製品を飲んでもらえるようつなぎ止めることが重要。秋口には大型のキャンペーンを企画している」(土屋淳一マーケティング部ブランド戦略グループリーダー)と意欲をのぞかせる。