「鬼滅」効果で下期プラス転換 スマートオペレーション全社展開へ ダイドーグループHD 高松富也社長が方針

ダイドーの21年1月期の国内飲料事業は、前年比4.7%減(約1千155億円)だった。コロナ禍の影響が大きかった上期は9.8%減だったが下期は0・5%増とプラスに転じた。「鬼滅の刃」とコラボした缶コーヒーの効果に加え、自販機設置台数の増加やコロナ禍の影響が少なかったローカルに強い同社の特徴が生かされた形だ。決算説明会で髙松富也社長は次のように発言した。

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20年に猛威を振るった新型コロナ感染症は、当社グループの事業にも大きな影響を与えた。今後コロナ禍がどのように終息していくのか、世の中がどのように変化していくのか予想するのは難しいが、こうした変化はビジネスモデルの変革期にある当社にとって大きなチャンスになり得る。このビジネスチャンスを逃さず柔軟な発想で俊敏に動いていく。

20年度上期は、緊急事態宣言の影響を大きく受けたが、下期の国内飲料事業の回復が利益確保に大きく貢献した。自販機台数が増加に転じたことや「鬼滅の刃」とのコラボ効果でコーヒー飲料の売上げが大きく伸長し前年実績を上回った。コラボ商品は若い世代や女性の購買が多く、これまで当社の缶コーヒーと接点がなかった新たなユーザー層の認知を得られたことが今後につながる大きな成果と考えている。

国内飲料事業の営業利益は粗利は減少したものの下期は増益となった。自販機耐用年数を法定年数の5年から実際の耐用年数である10年に変更したことによる減価償却費の低減効果は通期で29億円になった。自販機ビジネスをサステナブルなものにするため、労働力が不足する中で自販機網をいかに維持するか。そのような環境下では競合他社の戦略が変化する可能性があり、縮小する自販機市場の中でいかに優位性を確立するかがテーマだ。

今期は、自販機網の強化拡充とスマートオペレーションの全社展開に取り組む。今後業界全体で市場が拡大することは難しい。勝ち残るには自販機を一定程度まで増やしシェアを確保することが不可欠。自販機設置先と丁寧なコミュニケーションを図り、一定の売上げを維持できる自販機の引き上げの抑止と新規設置場所の開拓に取り組む。

19年度から新たな設置先を確保するため営業人員数を増やしてきた。20年度はインサイドセールスに特化したチームを立ち上げ成果が出てきた。コロナ前から取り組んできた営業ノウハウ共有の仕組みはコロナ禍で一層加速し、そうした成果が自販機台数の増加という結果に表れた。一人当たりのパフォーマンスを高めるとともに、移動を伴わないオンライン商談の経験値を増やせば設置場所獲得の効率化につながり、生産性の向上で収益性が改善する。

スマートオペレーションは、自販機のすべてをオンライン化し、自販機のルート設定やセットする商品の最適化を進め、各自販機に補充する飲料を事前に準備することで業務を効率化する取り組み。有効性を検証するためテスト導入した3事業所ではさまざまな課題が出たが、検証と改善を繰り返し一気に全社展開できる準備ができた。22年度の初めには全社展開が完了する。人員配置転換などは徐々に進めるため効果が出るのは23年度以降になるが、スマートオペレーションが本格的に機能すれば人員が3割程度減少しても現在の自販機網を維持できる。