温度帯超える畜産 売場で広がる冷凍品 メーカーは常温強化

畜産売場で冷凍肉やミールキットなど、冷凍品の扱いに力を入れる量販店が増えている。一方、メーカーでは冷凍に加え、常温商品を強化する動きが目立つ。内食化が進みストック需要が高まったことに対応するとともに、長期保存が可能な温度帯の商品を強化することで、小売にとってはオペレーションの簡素化やロスの削減、メーカーには新規チャネルの拡大という利点がある。

近畿のスーパー、さとうは3年前に冷凍肉の販売を始めた。それ以降、新店や改装店舗の精肉売場には必ず冷凍コーナーを設けている。今年1月からは、自社センターで冷凍加工した牛肉の販売を開始。牛肉の場合、売上金額も大きいがロスが発生すれば損失額もそれだけ大きい。冷凍販売することで店舗はロスを気にすることなく発注でき、欠品も抑えられる。さらに、昨今注目される食品ロスの削減にもつながりやすい。

また、冷凍肉は一般的なチルドのパックよりも大容量で販売されるケースが多いので、消費者が割安感を感じやすい。大容量のから揚げや肉団子といった加工品のニーズも高まっている。

さとうの野瀬山尊和バイヤーは「チルドのコンシューマ向けだとこれだけ大きな規格は難しいが、冷凍で展開したところ好調に動いている」と話す。同社では今期、精肉売場の冷凍品の売上げが前年比18%増で推移している。

同じく近畿の平和堂も2年ほど前から冷凍肉を扱い始め、ミンチや豚の小間切れからホルモンなどへ、品揃えの幅を広げている。精肉課の西川博憲バイヤーは「冷凍で日持ちがし、必要な時に小分けにして使える。買い得感もあり、世情にマッチしている」と説明する。

生協の店舗ではミールキットの動きが良い。コープこうべでは昨年から冷凍ミールキットの扱いを始めたが、家庭内調理の機会が増えていることもあり順調に伸びている。酢豚やベーコンアヒージョが売れ筋という。水産と共同でコーナー化している店舗もある。吉里直樹畜産担当係長は「新たにおつまみ向けの商品も出ている。さまざまなカテゴリーの商品を揃え、家飲みなどの需要も取り込んでいきたい」と意気込む。

一方、メーカーでは常温商品のラインアップを強化する動きが目立つ。

日本ハムは昨年、常温保存ができる「ストックポーク」を発売。今年新たにウインナーやブロックベーコンなど3品を追加した。また、調理食品では新製法の「あじわいレンジ」シリーズを投入する。伊藤ハムは「レンジでごちそう」「クイックディナー」といった常温の調理食品をシリーズ化。プリマハムは昨年、常温のカレーやハンバーグの「ストックディッシュ」シリーズを発売し、この春は新商品2品を加えた。丸大食品は簡単に調理できるカレールウを新シリーズとして発売した。

メーカーにとっては冒頭の通り、ストック需要や内食化の強まりに対応するだけでなく、これまで主戦場としてきたチルドとは異なる商品群を強化することで販路の拡大も期待できる。

日本ハムの小村勝マーケティング推進部長は常温食品の取り組みについて「スーパーだけでなくホームセンターなど、冷蔵庫のない得意先にも提案できる。開発のピッチを上げ注力していきたい」と強調している。