大震災10年 復興支援、第2ステージへ 長期化見据え戦略の中核に

東日本大震災から10年が経過し、食品企業による東北復興支援の形も新たな段階を迎えている。復興支援を継続的に行うため、これを企業戦略の中核に据える動きもある。地域活性や地域振興が大きなテーマになっている。

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2011年3月11日の大震災直後、食品企業は緊急支援として義援金の拠出や自社製品の提供などを積極的に実施。企業によっては社員をボランティアで派遣するなど活発に復興支援に取り組んだ。社員の中にはボランティア休暇を取得するなど企業もこうした活動をバックアップしてきた。

今年は大震災10年の節目の年だが、今後も復興支援を継続していくことには変わりない。だが、これまで一般的だった東北への旅行や、物産を食べて飲んで応援する形から大きく前進。支援をプロジェクトに位置づけ、CSVの中核に据える会社も出てきた。さらに支店ベースの取り組みではなく、本社自らプロジェクトを推進し、地元の活性化につなげようとしている。復興活動を行う外部諸団体と連携する企業もあり、被災地支援も第2ステージを迎えている。

サントリーグループは新たな取り組みとして、東北で新たな挑戦を行う人を応援する「みらいチャレンジプログラム」を開始。岩手、宮城、福島において、地方創生や地元活性化を目指す団体や個人に支援金などでサポート。町おこしイベントや特産品の開発なども支援する。

キリンビール仙台工場が甚大な被害を受けたキリンホールディングスは「地域食文化・食産業の復興支援」「子どもの笑顔づくり支援」「心と体の元気サポート」を目指し、早くから「キリン絆プロジェクト」を開始。この一環として東北のクラフトビールのブルワリーが集まり、各社がビールを醸造する「東北魂ビールプロジェクト」に参画し、クラフトビール産業の振興を図る。

公益財団法人味の素ファンデーションは、東北復興応援健康・栄養セミナー「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」を推進。被災した東北をはじめとした被災地域で、食を通じた生活の改善と被災地のコミュニティづくりに貢献することを目指している。

味の素AGF社は、2012年から復興応援活動「AGFちょっと贅沢な珈琲店 器の絆プロジェクト」を行っている。これは震災で被害を受けた東北の窯元を応援するもので、世界的デザイナーのコシノジュンコさんをプロジェクトパートナーに迎え、全国で陶芸・絵付け体験イベントや特別展示販売会などを行っている。

高校での農業活動の様子(カゴメ)
高校での農業活動の様子(カゴメ)

カゴメは、復興支援を目的に「農業復興」「地域再生を担う人材育成」「こころとからだの健康再生」につながるさまざまな活動を実施。カゴメトマトジュースの原料トマト「凛々子」を栽培して、子どもたちによる収穫体験や復興住宅で収穫したトマトを使ったトマト調理実習などを実施。東北における農業の担い手の育成を目的に農業高校でのトマト栽培の授業なども行っている。

2014年にスタートしたアサヒグループの東北復興応援「希望の大麦プロジェクト」は被災した土地で栽培した大麦を使いウイスキー原酒を製造。アサヒビールはHOPEから原料となる大麦を仕入れ、22年からウイスキー原酒の製造を開始する。

サッポロホールディングスは昨年2月に大震災からの復興と地域活性化に向けた包括連携協定を福島県と締結し、幅広い分野で連携している。