東日本大震災から10年 「防災食」 法人、個人で需要増加

相次ぐ災害をきっかけに防災への意識が高まり、「防災食」需要が伸びている。折しも今年は東日本大震災から10年、熊本大震災から5年目のメモリアルイヤー。2月13日にも福島県や宮城県で震度6強の地震が発生し、10年前の「3.11」を連想させた。毎年のように大型台風や集中豪雨など自然災害が続き、昨年来の新型コロナウイルス感染症拡大も加わり、日本列島は「複合災害」への対応に迫られ、「防災食」需要の範囲が広がっている。

「非常食を備えている人は全体の7割を超え、東日本大震災前から比べると2割も増加。大規模な浸水や長期の停電など、大きな被害の経験から備蓄に対する意識が向上した」。このほどウェザーニューズ社が行った、防災や減災に関する10年前との意識調査の比較でも明らかになった。

防災食の需要は自治体・企業・病院・学校などの法人系と個人に分かれる。需要が最も多い自治体への提供は入札によって決定し、防災食の消費期限がほぼ3~5年のため入札もこのサイクルで行われ、賞味期限切れによる買い替え需要が発生する。自治体提供への新たな試みとして、食品・飲料メーカー自らが都道府県と連携協定を結び防災・災害支援する動きも出ており、入札とは異なる動きとして注目されている。

一方、防災食需要の中で最近、勢いづいているのが個人向けだ。大型スーパーやディスカウントストア、ホームセンター、ネット販売などを通して商品を購入。スーパーでは東日本大震災が発生した3月11日前後と9月1日の「防災の日」前後に店頭で防災食を集中露出し、年2回のヤマ場をつくっており、中堅スーパーの中には防災コーナーを常設する動きも徐々に出てきた。

ネット通販も急速に伸びている。アマゾンや楽天などは3月、9月にはキャンペーンを開催して需要を喚起。コロナ禍での人との直接的な接触を避ける新しい生活様式が広がる中で、防災食でもネット通販は欠かせない存在となった。また、防災食専門メーカーや食品・飲料メーカーも自社ネットを通じて顧客を取り込んでおり、重い重量のミネラルウォーターや缶詰、レトルト食品のケース買いが増えている。

食品業界では、個人向けに普段食べる食品を少し多めに買っておき、使った分だけ新しく買い足すローリングストックを啓発している。言葉だけは認識されているが、実践している家庭は全体の2割という調査もあり、浸透途上にあるのも事実だ。