震災復興 置き去りのソフト面

東日本大震災から10年目。東京で地震に遭った私だが、東北に親類縁者が多いため地震から4か月後に現地に行った。応急復旧は進みつつあったが、至る所で大きな爪痕を目にした。その後何度も足を運んだが、道路の段差が直されるにも年単位の時間がかかったと記憶している。

▼この10年でハード面の復興は進んだが、特に福島県では高齢化、コミュニティの希薄化、地域産業の衰退などの問題も出てきた。これらは日本全体で緩やかに進むと考えられていたが、震災や原発事故でより浮かび上がってきた。一見して被害が少ないように見えた地域でも、これらの問題が生じるとともに、震災前と比べて殺伐とした空気も拭えなくなっているという。

▼私たちは被災地のソフト面の課題に向き合ってきたのだろうか。安全な地域にいて、あぐらをかいていなかっただろうか。この10年の間に災害は続いたが、テレビの中の出来事として他人事として見ていなかったか。10年目を迎えて改めて自問してしまう。

▼この間、デジタル化が進み利便性は向上。働き方改革などもいわれるようになったが、その陰で涙を消しきれない人たちが多くいることを忘れたくはない。