「揖保乃糸」 贈答用を家庭向けに販売、好調 変化に柔軟対応 兵庫県手延素麺協同組合 井上猛理事長

乾麺の需要期が3月からスタートする。昨年は新型コロナで乾麺の需要が底上げされ、機械製麺を中心に増産に対応した結果、5年ぶりに生産数量が19万t台に回復した。裏年となる今年もある程度の特需が見込まれ準備が進む一方で、市場の冷え込みが予想されている。手延べそうめんのトップブランド「揖保乃糸」では今期どのような施策で商戦を迎えるのか井上猛理事長に聞いた。

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――「揖保乃糸」にとって昨年はどのような一年でしたか。

井上 コロナ特需により家庭用商品が全般的に好調で、「揖保乃糸」の主力商品「上級品300g」が品薄になった。贈答用は中元商戦期が自粛宣言解除後というのもあり例年以上に動きが鈍り、メーン商材の「特級品」をはじめとする特殊麺が厳しくなると予想されたことから、贈答用に販売する予定だった「特級品」の一部を家庭用に回し補填できないかと考え特約店や卸に商談。その結果、「特級品」の販売量が過去例にないほど増えた。

また昨年は価格改訂を実施した年。4~5月は巣ごもりで小売店も特売をせずに商品が動き、問屋も値上げ納価でうまく販売ができた。ところが落ち着き始めた6~7月から特売が始まり、機械麺の品薄により「揖保乃糸」に特売が集中するのが散見された。大半は値上げが浸透した様子だが、それをいかに維持していけるかが今後の課題だ。

――昨年を踏まえて今年の対策は。

井上 年明けからオンライン会議などを活用しながら、特約店とコンタクトを取ってきた。特需にも安定供給できる体制、価格改訂が浸透していない小売への改善要求などの要望が出てきた。それらに対応しつつ、組合在庫を秋冬の生産期に補い、3月から始まる共販を前に先出しを行って、春先からしっかりとそうめんを供給できる体制を整えている。

――最終的な生産量は。

井上 107万箱ほどになりそうだ。昨年の商戦では105万箱を生産して新物と古物(一年、二年物)とを合わせて105万箱を販売する計画だったが、特需で108万箱が出て在庫が減少した。生産にも限界があるが、その分少しでも増産できる体制に取り組んでいる。麺種別では「特級品」など特殊麺を10%ほど減らして、余力を「上級品」の生産に回して量を増やしている。最終的には特需があった昨年並みの数字を確保できるように進めており、全そうめん生産量に占める「上級品」の構成比は約82%まで高まった。

それでも需要をまかなえるだけの供給量がないという話もあるが、機械麺生産量が昨年に前年比20%ほど増え、乾麺全体で言えば十分供給できる状況にある。周辺商材の即席麺やパスタも需要より供給の方が上回っている。消費者も昨年の緊急事態宣言下と比べて、今年は発令されても外出控えは少なく消費にも冷静さがある。夏も引き続き安定した環境になりそう。世の中にうまく対応しながら、コロナ環境下でも実行可能な販促計画を推進して販売を伸ばしていきたい。