はちみつ 健康軸のリーダー 拙い価値訴求がネック 連載・アンダーコロナキッチン第3章「新たなニーズ」〈4〉

はちみつは最も端的に健康感、自然観を紹介できる食材だ。年間を通じ健康情報番組などで何度も紹介され、そのつど需要喚起によるプチブームが発生。4年前には約2年間にわたり需要が高止まりした。

コロナ禍の昨年は、砂糖比でのカロリーの低さや、含有するフラボノイドが持つ血管・血流改善効果に加え、体内でのウイルス増殖抑制効果が紹介され消費者が強く反応、6月までテーブルハネーの販売が好調だった。

はちみつ業界は課題が少なくない。少なくとも3つの課題を解消し、次世代につなげていく必要がある。一つは汎用性の狭さだ。パン、ヨーグルトのトッピングやスムージーなどでの使用にとどまっているため、家庭内における年間消費量が300g程度。一方、調味料として幅広いメニューで重用する欧米での家庭内消費は、わが国の4~10倍。パッカー大手では加藤美蜂園本舗、日本蜂蜜、水谷養蜂園などがメニュー提案に取り組んでいるが、いまだ消費者にきちんと届け切れていない。

次に、消費者の認識も浅い。はちみつは、殺菌のための加熱、瓶詰め工程があるため「加工食品」とされている。本来はシーズンの採蜜量や国際的な需給バランスによって相場は大きく変動する「農産品」だ。人気のハンガリー産も今年は大不作だった。だが、「加工食品」と考えられているため価格改定も難しくなっている。

最後はチャイナフリー。中国産食品への不信感が強まった02年以降、はちみつも風評被害にさらされてきたが、中国は世界最大の蜜源を持つはちみつの一大生産地。地理的な物流コストでの優位性と品質の高さから、わが国は厳格な品質管理体制を構築した上で、70年以上にわたり輸入販売してきた。生産国別や花別などでテーブルハネーを楽しむ消費者も増えているが、中国産に対する忌避感の払拭は重要だ。

コロナ禍で、ディスカウンターやDgSの一部がはちみつ製品を廉売している。中国現地で充填され直輸入されたまがい製品も少なくない。業界関係者が危惧するのは、こうした製品の販売で再び風評被害に巻き込まれることだが、これを回避するのは業界が団結して発言力を強めると同時に、蜂産品の正確な価値観を消費者に伝えることだ。その中で新規需要が見えてくる。