生き辛い世の中だ

午後8時を過ぎ、暖簾も下げた酒場にすっと人が入っていく。入り口に目隠しはしているが薄く灯りは漏れ、中からは笑い声が聞こえる。「面倒なことにならなければいいな」。そう思いながら店の前を通り過ぎた。

▼コロナ禍で我慢を強いられる生活が続くなか、そのストレスを他者にぶつける人々の言動が昨年来、数多くニュースになっている。自粛警察という言葉も生まれ、“正義は我にあり”と言わんばかりに好んで諍いを起こす姿は醜悪そのもの。

▼2度目の緊急事態宣言を受け、時短営業する飲食店には協力金が支給される。大いに潤う店がある一方、とてもそんなんじゃ追いつかないという店も少なくない。また飲食店は助かっても、そこに食材や酒などを納める業者・メーカーなどには救いの手は届かない。

▼そうした関係者が不公平感を感じるのは分かるが、全く無関係の人々が警察化するのが昨今の怖いところ。人目を憚らず、大勢で楽しく食事をしたり酒が飲める日はいつ来るのか。冒頭の酒場も、怒鳴り込みや密告などトラブルに発展しないことを願うばかりだ。