地域卸 仕入難から独自商品強化へ 連載・アンダーコロナキッチン第3章「新たなニーズ」〈2〉

収益向上と地域活性化を

「注文通りに商品を納入できていたら4月の売上げは前年比120%だった」。昨年4月、内食需要の高まりでスーパーでは食品の売上げが急増。売場では品薄や欠品が目立った。

メーカーは工場をフル稼働させ、売れ筋商品に製造を集中するなどの対策を講じたが、それでも供給の追いつかない商品は多く、末端まで十分に行きわたらない状況が当面続いた。冒頭の言葉は、近畿を地盤とする地域卸トップの一言だ。

急速な需要の増加は供給の停滞を招き、そのしわ寄せはバイイングパワーの脆弱な中小の卸や小売に及んだ。背景には納入業者にペナルティを課す大手スーパーへの供給が優先され、中小が後回しになるという現状があった。「モノの流れが上位に集中している。これまでも、災害などが起こるたびに繰り返されてきたことだ」。別の地域卸の幹部は指摘する。

コロナ騒動でこうした仕入れの問題が再び露呈したが、地域卸が抱える問題はそれだけではない。限られたエリアにおいて小売業だけでなく、飲食店やホテルなどさまざまな業態を得意先に持つ卸も少なくない。小売へ十分な商品供給ができなかったため、市販用で業務用の落ち込みをカバーしきれないケースも多かった。また、コロナ前から存在する得意先小売業の後継者問題や、過疎化による廃業は今も続く。

経営環境が厳しさを増す中、地域卸は存続のため、さまざまな取り組みを進めている。特に商品面においては、今回のように納入に苦心したことが他方で新たな商機を生んだ。

大阪府の大楠屋は市販用のプレミックス粉が入荷できない時、比較的手に入りやすかった業務用の商品を仕入れて販売した。「『ありません』で終わるのではなく、いかに代替商品を見つけるかが大事」(酒井修二社長)。

大阪府のグローリージャパンでは、土産向け商品を製造する工場で余っていた食材を仕入れ、自社のC&Cで安く売り好評だった。「お客さまに喜ばれると同時に、NBの欠品をカバーすることにもなった」(末元義和社長)。卸にとっては薄利で価格競争に巻き込まれやすいNB商品を増やすよりは、地域商材などを強化する方が収益につながりやすい。

島根県浜田市の吉寅商店は一昨年の春から地域商社としての事業を始め、昨年は初のオリジナル商品としてトマトカレーを発売した。「開発するだけでなく、商品を継続的に販売できる口座を持っていることが重要」(来原明宏社長)。大手の全国卸と取引する強みを自社商品の拡売に生かす。広島市の広川も一昨年新設した地活部を通し、地域商材や農水産物の拡充を図っている。

地域商材に注力する狙いは収益改善と独自性の創出だけではない。「地域の食材を介し、企業と企業をつなげるという新たな使命を実感している」(広川・廣川正和社長)。自社の存在価値を高め、地域そのものの活性化に至る可能性も秘める。