漬物 不況時に強い生活産業 家飲み需要の受け皿へ 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈21〉

2020漬物生産量

漬物業界もこの1年は新型コロナの影響が大きい。漬物と一口に言っても、ジャンルによって状況は相当異なる。浅漬は巣ごもり消費により昨年前半は堅調。秋以降は巣ごもり需要が一段落し、量販店関係も落ち着いた。

キムチは昨年、乳酸菌による免疫力アップが期待され、市販品が好調だった。ただ原料不足もあり、業界全体が供給対応に追われた。比較的単価が高い梅干はコロナ禍がマイナスに働き、量販店では低調な動きとなった。片やネットを含めた通販は好調に推移した。

沢庵は昨年、一本物も刻み製品もよく売れた。原料事情もあって全国的に一本物が不足し、早々と販売休止に追い込まれた商品もあった。生姜漬は昨年、市販の紅生姜が爆発的な売れ行きとなった一方、外食向けの業務用ガリは大ダメージを受けた。

らっきょう漬は量販店の好調に伴い市販品が堅調。刻み漬は3月後半から需要が急増し、その後も堅調推移。京漬物はコロナ禍で最も大きなダメージを受け、対面販売、観光土産への影響はあまりにも大きかった。

全体的には業務用外食や観光土産向け、対面販売が多大なダメージを受けた一方で、量販店の市販品やネット通販は巣ごもり消費で堅調に推移している。食品需給研究センターによると、漬物の生産量は昨年1~11月で前年同期比4・9%増となり、市場トータルでプラスとなっている。「漬物は不況時に強い」とはある業界人の口癖だが、まさにその通りの状況になっている。

今後も引き続き内食需要に応えたい。緊急事態宣言の再発出により、世の中はまたも外出自粛モードになっている。この先、コロナが完全に終息した後も「新しい生活様式」はある程度継続されそうで、家庭での喫食機会は引き続き多いとみられる。

昨今は在宅率の上昇もあり、自家漬けに注目が集まっている。1月13日放送のNHK「あさイチ」では、「実はカンタン!今年はおうちで漬物生活」と題して、自家漬けが紹介された。数年前の無印良品「発酵ぬかどこ」のヒット以降、自宅で作るぬか漬が注目されている。

とはいえ漬物好きの人すべてが自家漬けをできるわけではない。要は漬物の存在感が高まることが大事であり、自家漬けへの注目は市販品にとってもプラスに働くはずだ。漬物が注目されるいま、市販漬物の価値訴求で需要喚起を図りたい。

健康志向の高まりからキムチは引き続き販売好調だ。ある漬物大手の調査によると、消費者がキムチ購入の際に魅力を感じるワードは「生きて腸まで届く」と「まろやかさ」であり、これに着目した新商品が今春市場投入される。

また、昨今は胡瓜のぬか漬やオクラの浅漬など、そのままおつまみになる商品が好調だ。即食簡便の漬物は家飲みニーズの受け皿となっており、今春も家飲み需要に応えるさまざまな商品が発売される。

さらに、漬物は各地に伝統漬物があり、地域性や風土を色濃く感じられる食品でもある。現在は有力卸やベンダーの集荷力により、都市部でもローカルの名産漬物を手軽に楽しめる。地域食材を使用し、家にいながら旅行気分を味わえる新商品投入の動きもある。