抹茶市場が足踏み インバウンド頼み浮き彫りに 活性化へ健康価値と本格的な味で模索

抹茶市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、これまで市場の成長を牽引してきた輸出やインバウンド需要が皆無に等しくなったことと外食需要の落ち込みによって消費が伸び悩んでいる。消費が伸び悩む一方、国内の碾茶(てんちゃ)生産量は近年拡大傾向にあり、20年も横ばいが見込まれている。伊藤園の調べによると、17年2千660t、18年3千380t、19年3千464tと右肩上がりに成長し「20年も堅調に推移し19年並みになりそうだ」(伊藤園)という。

消費喚起に向けて、生産量で2割弱のシェアを握る伊藤園は健康価値に着目し、昨年11月から認知機能の精度を高める機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」を軸足にした抹茶の一大プロジェクト「ITO EN MATCHA PROJECT」を展開している。

プロジェクト発表時、伊藤園の社三雄取締役専務執行役員は「抹茶の健康価値を正しく研究して正しくお伝えすれば抹茶の需要は拡大する可能性があり、これが世界に知れ渡ればさらなる需要拡大が期待できる。“おいしく・楽しく・健康的に”という世界感を演出していくことが抹茶を広めていく上で急務」と意欲をのぞかせた。

「お~いお茶 お抹茶」は、“毎日手軽においしく続けられる”ことを重視して開発された日本初となるテアニンと茶カテキンにより認知機能(注意力・判断力)の精度を高める機能性表示食品。

370㎖ボトル缶とスティック商品(6本・32本)をラインアップし、ともに1日2本の摂取を推奨している。機能性関与成分として1日2本の摂取目安量でテアニン50.3㎎と茶カテキン171㎎を配合している。

「お~いお茶 お抹茶」スティックとボトル缶(伊藤園)
「お~いお茶 お抹茶」スティックとボトル缶(伊藤園)

12月7日の発売以降、出足は好調で、有村架純さんを起用したTVCMも後押しとなっている模様で、スーパー、コンビニ、駅売店など多くの売場を獲得している。

抹茶の本格感を強化する動きもある。家庭用の抹茶プレミックス市場は、“インバウンド需要頼み”が浮き彫りになった。インバウンド需要の落ち込みにより20年は二ケタ減と推定される中、抹茶ブランドの「辻利」を展開する片岡物産は昨秋、本格抹茶ニーズの高まりを受け、家庭用のメーン商品「抹茶ミルク やわらか風味」を「抹茶ミルク」の商品名に改め、抹茶感をアップし、おいしく風味の高い味わいに磨きをかけた。

本格抹茶の動きとしては、味の素AGF社が昨年2月に発売した「ブレンディ抹茶一服」や「ブレンディ カフェラトリー スティック 濃厚抹茶」なども挙げられる。

この中で「ブレンディ抹茶一服」は抹茶ユーザーから挙がる、ダマになりやすく美味しく作れない、計量が面倒、使いきれず劣化してしまうなどの課題に着目して開発されたもので、茶せんなしで豊かに泡立ち、上質な抹茶ならではの旨みを手軽に味わえる本格抹茶スティックに仕立てられている。

ネスレ日本は、昨秋発売したプレミアムスティック「ネスカフェ ゴールドブレンド 大人のご褒美」の一つに「宇治抹茶ラテ」をラインアップしている。

家庭用の抹茶プレミックス商品
家庭用の抹茶プレミックス商品

抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)には、摘み取り前に日光を遮ることで旨み成分であるテアニンを多く含んでいるのが特徴。

また、抹茶は碾茶を石臼で挽いて、まるごと食すものとなることから、お湯に溶けにくい栄養素や健康成分も摂取することができ、抹茶にはテアニンほか、カテキン、ビタミン、ミネラルなどの健康成分が豊富に含まれている。

なお抹茶市場は、碾茶を石臼で挽いたもの以外に、緑茶を石臼で挽いたものも“抹茶”と称して売られるケースがあり、市場規模は不明瞭となっている。