疫病とそうめん

「そうめん」は疫病で生まれた。約1千300年前の大和政権時代。地域を疫病が襲い、飢えに苦しむ人々を助けようと、大神神社の神主の二男が小麦を挽き、棒のように練って乾燥させたものを保存食として広めた。それが後にそうめんの原型「索餅」となり、平安時代には平穏無事を祈り、宮中行事に奉納された記録が残っている。

▼「三輪そうめん」の産地・奈良県桜井市一帯は今も神道とのかかわりが強く、そうめんの発端となった大神神社では毎年2月5日に「ト定(ぼくじょう)祭」が行われる。生産・販売関係者が集って商売繁盛を祈願するとともに、その年に作ったそうめんの販売価格を占いで決める風習が残る。

▼今年販売する三輪そうめんの贈答用品には、神社で祈祷した「しおり」を添える。コロナで社会構造が変わり、人と人との関係にも影を落とす中、関係をつなぎ、無病息災を祈る気持ちを届ける手段として、そうめんを利用してほしいと考える。

▼巣ごもり需要で再びそうめんが伸びている。価格や保存性に注目されがちだが、その歴史や昔ながらの製法で作る希少性も見直されてほしいと願う。