アイスはコロナより天気 巣ごもり需要の恩恵みられず 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈19〉

コロナがアイスに与えた影響を簡潔に言うなら、「大勢に影響なし、アイスはコロナより天気」となる。もちろん全く関係がなかったということはなく、業務用と自販機が大きなマイナス、コンビニの来店客数減の影響もあった一方、巣ごもり需要の発生から暫減傾向のマルチタイプが増販に転じるという動きがみられた。

業務用アイスはファミレスやホテル・レストランのデザート需要が大半を占める。緊急事態宣言が出された4~5月は前年の30%を割り込む大幅減となったが、6月から回復に転じ7月は前年の70%弱、9~11月は80%台での推移となっている。12月は60%台となり、1月以降も2度目の緊急事態宣言で動きは鈍くなると思われるが、1年で最も動きの少ない時期なので影響もさほどではなく、年間でみれば前年の65%前後での着地と思われる。35%減という数字自体は大きいが、アイス市場に占める業務用商品のウエートは10%。1割の市場が35%のマイナスとなっても、大勢にはそれほどの影響は出ない。

自販機を展開しているのは4社程度。江崎グリコの「セブンティーン」が駅やジム、プール、オフィスなど幅広く展開し圧倒的なシェアを持つが、飲料自販機同様、人の動きが止まって稼働率を大きく下げた。4~5月は前年の40%弱、6月以降は70%前後で推移し、同社の12月決算では前年実績の70%程度で着地したと思われる。グリコにとって「セブンティーン」の売上高はアイス事業の1割程度を占めるが、市場全体からみれば2%にも満たず、そこが30%減となっても大勢への影響はない。

巣ごもり需要の恩恵を受けたのがマルチタイプ。1箱に6本程度のバーアイスが入っているのが一般的な形態。巣ごもりでは理由は分からないがチョコレートバーが人気で、ロッテの「ハーシー」、赤城乳業の「ミルクレア」がともに40%増。チョコレート系以外の人気商品も軒並み10~20%増で推移している。

マルチは特売も多く販促費のかかるカテゴリー。距離を置くメーカーもあり、そうしたところでも巣ごもり期は二ケタ増だったが、販促が戻った下期は水面下での推移となっている。特売効果がひょんなところで証明された。

マルチは、両親と子ども2人という家族形態が普通だった昭和の頃に人気があり、ピーク時は市場の40%近くを占めていたが、平成22年には30%、令和元年は25%と、この10年でも5ポイントほどシェアを下げている。今期は久しぶりに若干の上振れが期待できそうだ。

今期のアイス市場は4月5%減、5月1%増、6月12%増、7月5%減、8月6%増、9月8%増という推移。4~5月に巣ごもり需要の恩恵はなかった。市場はこの10年で4千63億円から5千151億円、27%増と大きく伸びた。

牽引車はコンビニのオリジナルアイスと、人気商品のフレーバー展開によるブランド化の2つ。ただ、どちらも一服感が出ており、最近は天候に左右される要因が大きくなっている。第3四半期を終え業界は2%増で推移しているが、7月の低温・長雨と8月猛暑、9月残暑の影響が大きかった。アイスはコロナより天気だ。
アイスクリーム市場規模推移