包装餅 活況に沸いた年末商戦 年明け後も好調続く 通年需要底上げ期待

コロナ禍一色に染まった20年。内食へのシフトがあらゆる食品カテゴリーに影響を及ぼした。「冬の食べ物」とのイメージが漠然と定着していた包装餅にも、その波は押し寄せた。

3月からの一斉休校、4月の緊急事態宣言発令を契機に家庭での買いだめ需要が高まり、即席麺、冷食、ミックス粉といった主食系や保存性の良い食品がスーパーの売場で品薄に。通常この時期にはあまり動かない包装餅が、がぜん注目されることとなり、6月ごろにかけて売上げは1~3割増で推移。その後、11月の家計支出(二人以上世帯/総務省調べ)は前年同月比2.3%増と、堅調さを保ったまま本格商戦に突入した。

POSデータで12月の包装餅販売金額をみると、単月では前年同月比105.5%(マーチャンダイジング・オンのPOSデータベースサービスRDSより/同社提供「Plano-POS」で集計)。二ケタ増が続いた昨春に比べて低い数字にみえるが、年間需要の4割が集中するこの時期の5.5%増はよりインパクトが大きい。これが押し上げたことで、通年の累計では109.4%で着地した。

包装餅トップメーカーのサトウ食品では数値は未公表ながら、内食需要の高まりもあり、グループのうさぎもちとともに売上げは伸長した。

佐藤元社長によれば、12月は市場を上回る販売実績。帰省自粛による在宅率アップの影響が大きかった首都圏を中心に好調だった。鏡餅では、容器に「アマビエ」をデザインした小飾り付き商品への反響が大きく、新規顧客からの問い合わせも多かったという。

「餅が日常のメニューの一つとして認識されるようになり、喫食機会が増えている。当社グループ独自の包材『ながモチフィルム』によるおいしさ保持効果への実感も広がり、ご指名いただけることが増えた」(佐藤社長)と手応えを語る。

越後製菓の包装餅売上高は単月104%。このうち切り餅・丸餅は108%となったものの、シェア首位の鏡餅は97%と前年に届かなかった。「年末は気温も下がり、販売好調だった。流通在庫や家庭内在庫も相当に減っていたと思われ、年明け後の受注も好調」(同社)とする一方で、鏡餅の思わぬ不振は売場への投入量減少の影響が大きいとみる。店頭での品切れや売場縮小が例年よりも早まる傾向がみられたと話す。

たいまつ食品は、切り餅・丸餅が単月で108、4%、鏡餅はシーズン累計で103.4%といずれも好調だ。

マルシン食品は切り餅・丸餅が前年並み、鏡餅は計画通り。販売先によって優劣差が大きく出たとしている。

アイリスオーヤマグループのアイリスフーズでは、ここ数年は12月の包装餅は頭打ち状態だったものの、12月は巣ごもりの影響で前年を大きく上回った。

また前原製粉では「丸餅主体のためコロナ禍による買い溜め需要がほとんどなく、昨春からの概況はむしろ外食・業務用の大幅な落ち込みによる悪影響が大きかった」といい、12月の売上高は包装餅2%減、鏡餅は11月からの合計で1%減。

ただ「包装餅の日常的な家庭消費は極めて堅調で、特にこの年明けの売れ行きは例年になく好調。3月までの通期では前年並みに落ち着きそうだ」(同社)。

暖冬だった前年の反動もあり、年明け後の好調ぶりは全般に目立つ。関連商材も同様の動きだ。餅とともに、お汁粉やぜんざいに使われることの多いゆであずきを展開する井村屋では、1月11日の鏡開き後も高い数値を維持しているという。

昨年を境に、新たな食シーンが広がった包装餅。通年での需要底上げにも期待が持てそうだ。