緊急事態宣言で大打撃のコーヒー市場 「成長へ最大のチャンス」味の素AGF品田社長

2020年国内コーヒー消費量は、4月の緊急事態宣言発令のタイミングで大きく落ち込み、トータルで前年比5%前後のマイナスとみられる。

コーヒー市場の中で、家庭用は巣ごもり需要や在宅勤務の増加などで4%程度の微増となる一方、同市場の過半のボリュームを占める外食・業務用などの家庭外が2割弱落ち込んだ。夏場には、外出自粛の緩和に伴い回復の兆しが見えたものの、秋から冬にかけて新型コロナウイルス感染症が再び拡大すると低迷。そこへ、1月8日、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県へ緊急事態宣言が再発令されたことで、冷や水を浴びせようとしている。

再発令が確定的となった6日、味の素AGFの品田英明社長は春季製品発表会で「当社の状況も国内消費動向と同一で、トータルでは前年の売上げを維持するのが精いっぱいだった」と昨年を語った。

再発令でさらに厳しい環境が予想される今後については「ビジネスしている人間にとって毎年同じような市場環境はないが、今回のような危機は逆に言うと、解決しなければならない社会課題へわれわれの技術やノウハウをフル活用してメーカーが成長できる最大のチャンスととらえている」と述べる。

1ℓの水に溶かして飲む「ブレンディ ザリットル」㊤と1日の働き方変化に対応した「AGFワークデザインコーヒー」(味の素AGF)
1ℓの水に溶かして飲む「ブレンディ ザリットル」㊤と1日の働き方変化に対応した「AGFワークデザインコーヒー」(味の素AGF)

この考えのもと、社会課題の解決を意識して新カテゴリーを創造すべく発売されるのが、1ℓの水に溶かして飲む大サイズのスティック「ブレンディ ザリットル」と1日の働き方の変化に対応した「AGFワークデザインコーヒー」の2シリーズ。

「ブレンディ ザリットル」は、コロナで買い物頻度が減り一度に買う量が増える中、大容量のペットボトル入り飲料と比べて持ち運びしやすいのが特徴。エシカル消費や在宅時間とともに増加傾向にある家庭ゴミを極力減らしたいニーズへの対応も意識して開発された。

一方、EC限定販売商品となる「AGFワークデザインコーヒー」は、コロナで加速した働き方の多様化を受けて開発された。AGFはコロナが長引くことで精神的・心理的な問題が深刻化していることを問題視し、「AGFワークデザインコーヒー」では以下の1日の働き方の3つの変化にあわせて異なるコーヒーを提案していく。

――集中に向けた補給・安らぎ(休憩)
――業務のメリハリ・ショートブレイク(合間)
――コーヒーを飲みながら業務(集中)

「休憩」には、レギュラーコーヒーならではの本格的な香りとコーヒーをいれる時間を含めた癒しのひとときを感じてもらうべくドリップコーヒーを、「合間」と「集中」には味わいが異なる計2種類のインスタントコーヒーをそれぞれ提案していく。

先行きが見通せない中、AGFは全体方針として「生活者の心と体の健康、特に心の健康に焦点を合わせ、すべての商品開発とコミュニケーション戦略をRest(休息)・Relaxation(安らぎ)・Refreshment(気分一新)の3Rに集中することでストレスや不安の多い今の社会生活に少しでも潤いと活力を提供していく」ことを掲げる。

商品開発の最重要事項は安心品質№1で、その上で独自技術であるAGFスペシャリティを追求していく。この方針の下、2月24日から前述の「ブレンディ ザリットル」と「AGFワークデザインコーヒー」に加えて主要ブランドの新商品を投入する。

左から「ブレンディ スティック 冷たい牛乳で飲む」シリーズと「ブレンディ カフェラトリー スティック 芳醇オレンジティー」
左から「ブレンディ スティック 冷たい牛乳で飲む」シリーズと「ブレンディ カフェラトリー スティック 芳醇オレンジティー」

旗艦の「ブレンディ スティック」では昨年好調に推移した春夏限定の「ブレンディ スティック 冷たい牛乳で飲む」シリーズを再発売する。

昨年は、自宅での“おうちカフェ”ニーズやカルシウム・たんぱく質など牛乳の栄養を一緒にとることができる健康ニーズにも対応し、20年4-9月のAGF出荷ベースは前年同期比約2倍となった。

今年は「クリーミーカフェオレ」「クリーミーココア・オレ」「クリーミー抹茶オレ」「クリーミー紅茶オレ」の4種類のうち「クリーミーココア・オレ」のみ中身を刷新し溶けやすさを強化した。

「ブレンディ カフェラトリー スティック」からは、定番フレーバーのオレンジを採用した「芳醇オレンジティー」を新発売して昨年手応えのあったアイスティー飲用を訴求していく。

「ブレンディ ボトルコーヒー」シリーズ
「ブレンディ ボトルコーヒー」シリーズ

アイスコーヒー市場に向けては、ボトルコーヒーに磨きをかけるとともに、「ちょっと贅沢な珈琲店」から新商品を投入する。

ボトルコーヒーは、エシカル消費に対応したハーフラベルパッケージの「ブレンディ ボトルコーヒー」シリーズと「マキシム ボトルコーヒー 香りとキレのブラック無糖」を新発売する。これにより昨年4-9月出荷実績による試算で、現行のフルシュリンクに比べてプラスチック排出量約57t、CO2排出量約343tの削減を見込む。

一方、「ちょっと贅沢な珈琲店」はアイスコーヒー市場向けに「冷たい水でつくるアイスコーヒー」と「レギュラー・コーヒー アイスコーヒー ブレンド」の2品、ドリップコーヒー市場向けに「ハンディドリップ コロンビア」シリーズを新発売する。

「ちょっと贅沢な珈琲店」はアイスコーヒー市場向け新商品
「ちょっと贅沢な珈琲店」はアイスコーヒー市場向け新商品

「冷たい水でつくるアイスコーヒー」は、厳選アラビカ豆を100%使用したアイス専用のインスタントコーヒーで「お湯で溶かなくても、冷たい水に入れるだけでサッと溶ける新しいタイプのインスタントコーヒー」に仕立てられている。135g袋タイプと個包装のスティックタイプ(2g×10本)をラインアップしている。

「レギュラー・コーヒー アイスコーヒー ブレンド」は、水出し抽出・急冷ドリップの2つのアイスコーヒーのいれ方に対応した商品で、こちらも厳選したアラビカ豆を100%使用している。

プレミアムドリップコーヒーの「ハンディドリップ コロンビア」シリーズは、FNCコロンビアコーヒー生産者連合会を通じて購買したコロンビア産100%のシングルオリジンコーヒーで、在宅時間の増加で、豆の種類や産地へのこだわり、外食のような本格的な味わいなどを重視するユーザーに向けたものとなる。

オレンジのような爽やかな果実感やすっきりとした酸味が特徴の「バジェデルカウカ」と、マスカットのような爽やかな香りやブドウのような芳醇な甘みを特徴とした「ウィラ」の2品を取り揃える。