コロナで新発想 UCCのコーヒー農園ツアーが好評 現地からライブ中継

UCCホールディングスは、コーヒーに興味がある初心者やカフェなどの開業志望者に向けて開催しているコーヒー専門のアカデミー「UCCコーヒーアカデミー」で、オンラインセミナーを強化している。新型コロナウイルス感染症拡大で対面でのセミナーの開催が困難なことが強化の背景。強化に当たり、オンライン農園ツアーというUCCグループの資産とネットワークを生かした新発想の企画が好評を博している。

昨年9月から、エチオピア、ハワイ(2回実施)、レ・ユニオン島、ルワンダのコーヒー農園とオンラインでライブ中継。現地の農園従事者と交流しながら各地のコーヒー豆の特徴や精製方法などを紹介する内容で実施している。

1月9日には、5か国目・6回目となるオンライン農園ツアーが開催された。この日は「ジャマイカブルーマウンテンコーヒーの日」であることから、これを広く普及させる目的も兼ねて、ブルーマウンテンエリアにある約65 haのUCCブルーマウンテン直営農園(UCC農園)と中継で結んだ。

開催時刻は日本時間の午後9時。ジャマイカの主都・キングストンの現地時間・午前7時に合わせて開催された。

この日のセミナーでは、UCC農園責任者のウインストン・ショー氏が現地を案内し、UCCコーヒーアカデミー専任講師の川口雅也氏、UCC上島珈琲原料輸入部の長田光司氏、ピショ・ジェレミー氏がナビゲーターを務めた。

ブルーマウンテンコーヒーは、ジャマイカ産コーヒーの中でも標高2千256mあるブルーマウンテンピークの中腹に位置する標高800~1千200mの指定地区で栽培されたコーヒー豆のみを指す。

1953年、ジャマイカ政府は法律によって、指定地区と他のエリアとの間に明確な境界線を引くと同時に指定地区以外で生産されたコーヒーにブルーマウンテンの名称を使用してはならないと定めた。

コーヒーは10~15℃の気温差があるとおいしくなると言われており、ブルーマウンテンコーヒーの産地ではそれに匹敵する寒暖差がある上に、寒暖差は夜の1日1回あるのが一般的であるのに対し1日2回訪れるのが特徴となっている。

また、島の東部の一番狭い地域に険しい山脈があることから、山脈に湿った雲が当たって霧や雨が降りやすい環境も品質に好影響を与えている。

ブルーマウンテンコーヒーの品種は、アラビカのティピカ種のみが伝統となっているが、最近では、ティピカ種以外にもゲイシャ種やパカマラ種を導入する農家が見られるという。

UCC農園では、生産量の増加とハリケーン対策としてコーヒーの木の植え付けに取り組んでいる。「ハリケーンなどの影響を極力少なくするために植付け面積を極力増やそうとしている。4~6フィート(1~2m前後)の距離で植え付けることでダメージをある程度軽減できる」とショー氏は説明する。

そのほか、ハリケーン対策として、コーヒーの木よりも高いシェイドツリーの植え付けにも取り組んでいる。

中継では、ジャマイカで最も由緒ある「クレイトンハウス」(事務所)からスタートし、コーヒーの苗床を紹介。苗床から丈夫な苗が選別され、春先に農園へ植え付けられる予定となっている。

ビデオメッセージを寄せたショーナ•ケイM. リチャーズ大使(ジャマイカ)
ビデオメッセージを寄せたショーナ•ケイM. リチャーズ大使(ジャマイカ)

オンラインセミナーでは冒頭、ショーナ・ケイM.リチャーズ駐日ジャマイカ大使のビデオメッセージが紹介された。ビデオメッセージでは「ジャマイカブルーマウンテンコーヒーの日を祝したい。このキャンペーンの中核にはUCCの上島達司さまがおり、40年以上日本においてジャマイカブルーマウンテンを守り消費促進を続けてくださっている。コロナの流行で混乱があったのにもかかわらず、契約上の義務を履行してくださったジャマイカコーヒー輸入協議会(AJIJC)さまにも感謝している」とのコメントが寄せられた。

1967年1月9日、ジャマイカ産コーヒーを載せた貨物船がジャマイカの主都・キングストンの港を出港。この事実は、現地新聞のトップをかざるほど話題になったことから、AJIJCは日本記念日協会に働きかけ1月9日を「ジャマイカブルーマウンテンの日」として記念日制定した。ただし、記念日の制定が飲むきっかけに直結しないと考え、1月は受験シーズンであることなどを加味し、ブルーマウンテンコーヒーを、勝負を控えた大切な人の勝ちを祈る“勝ち豆”と意味づけて消費啓発を行っている。

数年に一度訪れるハリケーンを乗り越え、現地政府系公社による厳格な品質検査をクリアしたという点で、流通に乗るブルーマウンテンを“勝ち豆”に見立てた。

世界のコーヒー生産量に占めるジャマイカコーヒーの生産量は0.06%。ブルーマウンテンコーヒーは稀少コーヒー豆の一つで、現在も生産量の約6割が日本向けに輸出されている。