逆風続く塩業 団結で「塩」を守れ 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈17〉

世界各国の塩の需要(2018)

約100年続いた専売制が廃止され、塩の販売自由化から20余年が経過した。自由化以降、自然海塩、特殊製法塩、輸入塩などが流通の塩売場などでの露出が拡大し、メディアを通じ消費者の塩に対する関心を高めた。

だが、業界では今後の事業継続にも影響を与えそうな課題に直面している。一つは菅首相のカーボンニュートラル宣言だ。少子高齢化による人口減、健康志向による減塩志向、コロナによるインバウンドの減少など需要環境で逆風が吹く中で、安価な石炭を燃料として製造してきたメーカーに激震を与えた。

二つ目は、センター塩の減少。専売公社、日本たばこ産業の事業継承した塩事業センターの主要事業は「離島や過疎地を含めた全国各地への塩の安定供給」「緊急時における塩備蓄」「研究」など。事業活動の原資は、食卓塩をはじめとするセンター塩の販売だ。だが、コロナ禍での業務用の販売不振、家庭用は昨年の価格改定の影響もあり、PB製品に商機を奪われた。その結果、販売数量減に歯止めが掛からなくなっている。

国内のイオン交換膜式製法のメーカーは、日本海水が年間40万tを生産する国内のトップメーカー。これにセンター塩を受託生産する日本塩工業会のダイヤソルト、鳴門塩業、ナイカイ塩業が続く。

日本塩工業会から距離を置きNB、PBを販売する日本海水は、環境・電力・食品・農業・水事業など多彩な事業を展開するエア・ウォーターのグループ企業。自由競争の経済原則下で、生産効率を高めながら塩市場でも商圏を拡大してきた。

だが、カーボンニュートラル宣言によって、イオン交換膜法で塩を製造してきたメーカー大手はいずれも、ボイラーを含めた設備更新が必要となる。設備更新で必要なのは従来の倍近い投資。LPGにスイッチするにせよ燃料コスト高も懸念される。

「SDGs」の考え方を塩業各社の事業継続につなげるためには、塩事業センターの事業活動のありよう、塩の価値観についての再構築、製塩メーカーの立ち位置に加え、所管官庁である財務省との連携も不可欠だ。こうした状況下で昨年9月には塩業界を部門横断的にまとめた「全国塩業懇話会」も設立された。

現在わが国の塩自給率は、先進諸国との比較では圧倒的に少ない11%。生命の根幹でもある塩を守らなければならない。