鶏卵 需給バランス乱れ価格低迷 海外販路に期待 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈16〉

鶏卵業界は需要の激減に苦しんだ。汎用性が広いため、コロナ禍で最も悪影響を受けた食品の代表格といえる。内食回帰で、量販店でのパック卵の売れ行きは好調だが、中食、外食向けは激減。

外出自粛に加え、インバウンド需要の消滅も痛手になった。「もともと供給過多」(鶏卵大手)の中で、市場の約50%を占める業務用の需要が激減したため、卵価は一層下落してしまった。鶏卵大手は羽数を数十%減らして対応したものの、卵価はいまだ前年並みには戻っていない。また利益商材であるべきブランド卵も標準卵の卵価が低いため、購買が進んでいない。

鶏卵業界は長年にわたり中小・零細企業の後継者不足による廃業、飼料大手、商社主導による合併などにより大手の寡占化が進んできたが、これに拍車をかけたのが五輪開催を見込んだ大手の販売戦略だ。

また、首都圏をはじめ大都市圏をターゲットにしたイセ食品、アキタなど鶏卵大手がここ数年、生産拠点を拡大した結果、その傾向は一層顕著になっていた。

これを裏付けるように、この5年間の東京鶏卵相場は下落の途にある。2016年、2017年は年間平均卵価が200円台を超えていた(2017年207円)が2018年は180円、2019年は173円に。今年度は8月末までの平均で172円とさらに下落し、8月単月は過去5年間で最も安い145円をつけた。

鶏卵は10-12月が最需要期。「現在でも赤字。せめて200円台に戻らなければ」(同)が生産者の本音だったものの、西日本で鳥インフルエンザが発生し被害が生じた上、供給過多が解消されることなく年を越え、年間平均(M)も前年を下回る170円となった。生産増強を進めてきた大手が今後も手を緩める可能性は低く、体力勝負がさらに厳しい中で継続することになる。

国内市場で需給バランスの崩れで卵価が上昇せず体力勝負になっている一方、海外輸出は徐々に進捗している。自国で鶏卵を生産していない香港、シンガポールをはじめ東南アジア圏の一部の地域では、コロナ禍によって隣国からの輸入がストップした。その結果、以前から海外での販路開拓を模索していた国内生産者との思惑が一致したのだ。

もともと生食でのニーズがないため液卵をシップで輸送すればよく、高度に生産管理された日本の液卵製品は消費国にとっても魅力だ。

今後は現地ニーズに合わせた商品開発が進むと予想されるが、卵価が一向に上昇しない国内市場では寡占化がさらに進み、中小規模の生産者が廃業に追い込まれることになる。

2020年の鶏卵相場と食鳥相場のサイズ別月平均値