煽られ麻痺する危機感

テレビのニュースや情報番組が、視聴率獲得のために不安をあおっているという論調を聞く。果たしてそうなのか。

▼「感染者数が過去最高を更新した」「全国では何千人を超えた」「医療の崩壊が間近だ」。さらには「有名人の誰それに陽性反応が出た」「何人で会食を開いた」と騒ぐ。連日繰り返されるこうした報道に飽き飽きし、以前はニュース番組ぐらいしか観ていなかった人が、今はニュースが始まるとチャンネルを変えるようになった。そんな話も聞く。視聴率がどうこうではなく、視聴者が離れていっている。

▼緊急事態宣言が大都市圏だけでなく全国へ広がり、地方では独自の宣言を出す動きも広がっている。しかし、街を歩く人は前回の宣言時ほどには減っていない。行政が外出自粛やテレワークの徹底を呼び掛けてもなかなか浸透せず、小池都知事は「2回目の宣言であることが難しくしている」とコメントした。

▼それだけではないだろう。行政の中途半端な自粛要請に翻弄され、メディアが繰り返すあおりに危機感は麻痺。その結果が、緊張感の希薄な“緊急事態”を招いてはいないか。