通販食品展示商談会 初出展含め前年以上の賑わい 盛んだったバイヤーとの個別商談

全国のこだわり食品や特産品を一堂に集め、通販・宅配食品に特化した日本で唯一の展示商談会である「通販食品展示商談会」が2020年12月1日、2日の両日、東京・千代田区有楽町の東京交通会館で開かれた。コロナ禍にもかかわらず前年を上回る多数の企業が出展し、通販・宅配食品業界への関心の高さを裏付けた。主催は(一財)食品産業センター、(一社)日本スーパーマーケット協会、(公社)日本通信販売協会と食品新聞社。

今年で10回目の節目の開催となった同展は、今回から東京・有楽町の東京交通会館に場所を移し、野菜・肉類・水産物の加工品のほか、米類、麺類、菓子・スイーツ、飲料、酒・アルコール、調味料などを扱う企業が多数出展。通年ギフトやプチ贅沢品、手土産品など通販に適した商品が500アイテム以上勢ぞろいした。

毎回、初参加企業により初めて紹介される商品の多いことが同展の特徴で、今回も他の展示会では見られない新製品が多数紹介された。出展者とバイヤーが商談する個別商談マッチングサービスには、昨年を上回るバイヤー約30社が参加し、多くの商談が成立すると共に、コロナ禍の中でオンライン商談も行われた。

北海道から沖縄まで全国のこだわり食品や特産品、ふるさと食品が一堂に集結するとあって、初日から流通など多くの関係者が来場。出展社からは「商談を含め前回を上回る成果だった」などの声があがった。また、出展者からも「冷やかしが少なく、目的を持った方が多い」「来場者の質も良く、次回も出展したい」との声も多く寄せられ、単なる展示会ではなく商談会としての目的を達成した。

5年連続して出展している和歌山県中小企業団体中央会からは、「プレミアム和歌山」を旗印に「わかやま農業協同組合」「不動農園」「熊野鼓動」「伊藤農園」「あんちん」「長生き屋商店」の6社が出展した。「コロナ禍において一般小売が厳しい中で、通販だけは順調に伸びている」と出展者。しかし「地方事業者は通販チャネルには弱く、今回の商談会を通して通販への足掛かりにした」。和歌山は梅やみかんが特産で、これを使った加工品や和菓子、デザートなどユニークな開発商品が多数展示された。

全国水産加工協組連(2020通販食品展示商談会)
全国水産加工協組連

全国水産加工業協同組合連合会は、東日本大震災で被災した水産加工業者を支援する復興水産加工業販路回復促進センターのもとで「三陸オーシャン」「大興水産」「カネダイ」「鮮冷」の4社が出展した。出展社は「通販には興味をもっていたが、展開方法がわからなかった」や「パッケージや表示の仕方がわからなかった」などの声が多かったが、「出展を通じて足掛かりができた」とする企業もあった。

静岡県産業振興財団は、公募により「高福」「はの字食品」「丸晶」「松田商店」「丸又」「本山製茶」「本目浅吉商店」「心粋」「杉初水産」「マルフク」の10社が参加した。財団が提唱するフーズ・ヘルスケア・オープンイノベーションプロジェクトの一環として健康食品をテーマに出展。「実際に来場者に試食していただき、通販による販路開拓のきっかけになった」などの声が寄せられた。

コロナ禍は外食控え通販で グランプリや金賞受賞商品も展示

千房ホールディングス(2020通販食品展示商談会)
千房ホールディングス

「千房ホールディングス」は、「千房お好み焼き・たこ焼きセット」を中心に展示した。大阪道頓堀のお好み焼専門店「千房」のお好み焼を通販用に冷凍したもので、電子レンジで温めるだけで、お好み焼の本場大阪の味が楽しめるとあって人気だと言う。「千房の店は目の前で焼くというライブ感が特徴だが、冷凍のお好み焼セットもできるだけ店の手焼きに近い形で届けている」と同社。「コロナにより外食できなくなった人が通販を利用するようになり、売上げは前年の倍以上」だと言う。千房のお好み焼をOEM製造している「昭和ミート」は、冷凍焼きそばや焼うどん、ナポリタンなどを昔ながらの製法で製造。焼きそばは焼き窯で焼いているため蒸し焼とは風味が異なり、徹底して味にこだわっている。

「SOCORA」は、チョコレート専門店のこだわりチョコレートを通販でも展開している。特徴は着色料などは一切使わず、カカオ豆だけでつくったチョコレートで、「山椒などを加えたスパイスチョコレートが、ちょっとしたプレゼント用として人気」。

わさび葉寿しの「うめもり」は、日本ギフト大賞にも選ばれた。古く奈良の山里では、わさびの葉にご飯を包んで食べる習慣があり、同社では、この伝統を受け継ぎながら現代版にアレンジし、オリジナルのわさび葉寿しとして冷凍・冷蔵により通販でも販売している。「お正月や中元・歳暮用、父の日、母の日のプレゼントとしても人気。メインは40~50代だが、若い人も買ってほしい」と言う。

京の舞妓さん本舗(2020通販食品展示商談会)
京の舞妓さん本舗(2020通販食品展示商談会)

「秋田活性化」は、本場大館産の比内地鶏100%を使った缶詰「秋田缶シリーズ」を展開。きりたんぽの本場の味を全国に拡げようと「本場大館きりたんぽ玉手箱」を展示した。

「京の舞妓さん本舗」は、伝承京漬物や創作漬物を保存料や着色料を使わず、本物の味として通販でも展開。「とまと味噌九条ねぎ田楽」は漬物グランプリ2020において金賞を受賞した商品だ。昔ながらの製法にこだわり、本物の漬物を作り続けてきた初代亀蔵が、老舗の技で作り上げたのがトマトの漬物「ゆずトマト」は、ゼリー状の漬液でトマトを包み込んだもので、に乗せて楽しめる。

今回が初出展の「辰野」はアパレル系の商社。「コロナ禍だけに、お客様に豊かな生活をおくってもらおうと食を通して新しいライフスタイルを提案した」。オリーブオイルやバルサミコ、ソルトをオシャレな容器に入れ、イタリア発のカッコいいギフトとして訴求。「オリーブオイルとバルサミコを詰め合わせたオシャレなギフトボックスにより、送り主の感性と気持ちを伝えたい」と言う。

通販・宅配は販路拡大の決め手 こだわり品で健康・栄養価値訴求

カミナリヤ(2020通販食品展示商談会)
カミナリヤ(2020通販食品展示商談会)

花粉対策専門店「カミナリヤ」は、健康飲料の「スギ・ヒノキドリンク」を展示した。これは天然由来素材をじっくり煮出して作った体に優しい清涼飲料で、今後は花粉症シーズンをにらみながら訴求して行く。皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素、ナイシンを配合した「ウッディコーデイアル(栄養機能食品)」は、「がんばっている女性をターゲットにした一押し商品」(同社)。1日20㎖を炭酸で割ったり、紅茶などに入れて飲む。「希釈してマイボトルに入れれば持ち歩けば、日常のお茶の代わりに飲めるため経済的だ」と言う。

「フジチク」は、熊本での牛の飼育・生産に加え、馬の飼育も行っており、自社牧場では黒毛和牛約4千頭、馬約1千頭を飼育している。その同社は、今展示会では「馬刺し」を出展した。「独自の管理方法により飼育から加工、販売までを一貫して行うことで、通販でも安全で新鮮なおいしい肉が食べられる」と同社。馬肉は脂質やカロリーが低いためヘルシーで食べやすく、疲労回復に効果的なグリコーゲンが他の肉に比べて3倍以上入っているなど健康効果が注目されている。最近ではヘルシーな肉として女性にも人気で、「馬肉を牛、豚、鶏に続く第4の肉として期待している」。

「最上まいたけ」が展示した「山伏茸」は、中華料理によく使われるフカヒレ、マナコ、熊の手に続く4大珍味として珍重されている。火鍋や薬膳鍋などに入れて食べると、シコシコした歯切れのいいフカヒレのような食感が楽しめる。天然物に比べて苦みがなく、見た目もきれいで、最近では料理番組でも取り上げられ人気を博している。

最上まいたけ(2020通販食品展示商談会)
最上まいたけ(2020通販食品展示商談会)

「阿蘇自然の恵み総本舗」は、「菊芋」の加工品を展示した。ゴボウの仲間である菊芋は水溶性食物繊維のイヌリンがゴボウの約2倍含まれ、血糖値に上昇を抑えたり、腸内環境を整え、免疫力を高めるなどの効果が注目されている。阿蘇自然の恵み総本舗では「菊芋万能パウダー」や「ヨーグルト用菊芋パウダー」「菊芋焙煎チップ・菊芋ポリポリ」などを販売し、「おなかのための新習慣」を提案している。

こだわり商品や特産品は、生産量が限られ、販路が地方に限定されるなど課題はあるが、通販・宅配業界はその課題を魅力に変えられ、販路拡大への大きな可能性を秘めている。ライフスタイルが多様化する中で、今や通販・宅配は必要不可欠な販売形態となっており、その存在意義も高まっている。