炭酸水市場が活性化 家飲み需要とレモンの爽快感で過去最大の販売数量

2020年の炭酸水市場は、「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)と「サントリー天然水 スパークリング」(サントリー食品インターナショナル)の2大ブランドがともに1割程度伸長したことで、過去最大の販売数量に達したとみられる。好調要因の一つに、家飲み需要の増加が挙げられる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛と家庭内需要の高まりによって、お酒の割材として飲まれる機会が増加しているとみられる。

「ウィルキンソン」の好調要因について、アサヒ飲料の米女太一社長は「家庭でどのような飲まれ方をしているかの精緻な分析はないが、さまざまな定性的な情報によると、家庭で飲まれる焼酎やウイスキーの量が増えたことで、そういったものを『ウィルキンソン』で割って飲用する需要が増えている」との見方を示す。

次に“爽快な気分を味わいたい”というリフレッシュニーズの高まりが挙げられる。この点、昨年市場を賑わしたのがレモンフレーバーやレモン果汁を加えた炭酸水となる。

炭酸水に限らずレモンを加えたアルコールや飲料は健康志向の高まりにより、苦境に立たされる外食市場でも底堅く推移しているとみられ、ブームを超えて定番化の域に入っている。

レモンは、果実の中でも甘くないイメージがあり、糖分の摂取を避けようとする“避糖化”の受け皿のフレーバーとして伸長している。また、揚げ物などとの組み合わせもよく、おいしさを際立たせる素材としても注目されている。

「ウィルキンソン」の中でも、とりわけ近年高い伸びを見せているのは「タンサン レモン」で、強炭酸とキレのあるレモンのさわやかな香りが受け入れられ19年に28%増となった。

昨年1―11月も篠原涼子さんを起用した広告活動を展開したことで女性を中心に支持され、19年とほぼ同等の26%の伸びを見せた。

「キレートレモン無糖スパークリング」㊧(ポッカサッポロ)と「キリンレモン スパークリング無糖」」(キリンビバレッジ)
「キレートレモン無糖スパークリング」㊧(ポッカサッポロ)と「キリンレモン スパークリング無糖」」(キリンビバレッジ)

「サントリー天然水スパークリングレモン」も高い伸びを見せ、過去最高の販売を記録した。

「サントリー天然水」ブランドでは今年、本体(天然水)と並ぶ無糖嗜好飲料の柱としてレモン戦略を打ち立てて「スパークリングレモン」を刷新。厳選された産地で採れた有機レモン果汁のみを使用してフレッシュな香りを実現し、その香りを最大化させるために通常の殺菌温度よりも低い温度での殺菌技術を導入して磨きをかけた。

レモンを切り口にした新規参入も見られた。6月にキリンビバレッジが「キリンレモン スパークリング無糖」、ポッカサッポロフード&ビバレッジが「キレートレモン無糖スパークリング」を相次いで新発売し、ともに好発進となった。

「キリンレモン」ブランドは、「キリンレモン スパークリング無糖」の好調が寄与して1―11月に6%増を記録。また、「キレートレモン」も「キレートレモン無糖スパークリング」の貢献もあり1―11月で7%増となった。

節約志向が高まる中、炭酸水は値頃感も支持されているポイントとなっており、スーパー、量販店、ドラッグストアのPB商品も拡大している。

炭酸水のスーパー・コンビニなど手売り市場規模は約500億円と推定。これに加えて、ECでの販売がかなりのボリュームで上乗せになっている模様だ。

全国清涼飲料連合会の「2019年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、19年はプレーン炭酸水販売金額が2.8%増の451億900万円、果汁・フレーバー入り炭酸水販売金額が6・2%減の319億6千100万円を記録している。