野菜飲料「免疫力」で評価高まる 危機時に強い「安心感」 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈11〉

新型コロナウイルス感染症の拡大により消費者の価値観や消費行動が一変する中で、健康への関心が加速し、その一環として「免疫力」が注目されている。ウイルスや細菌、カビなどさまざまな病原体から身体を守り、病気の発症や重症化を防ぐ防御機能として関心が寄せられ、免疫機能を持つ食材としてヨーグルトや納豆などとともに「野菜飲料」にも期待が寄せられている。

野菜飲料は、トマトジュースや野菜ミックスジュース、ニンジンジュース、野菜果実ミックスジュースなどで構成され、品目によって多少のバラツキはあるが、トマトジュースを中心に比較的、安定成長を保ってきた。その背景には、機能性を訴求した商品による市場活性化や、トマトに含まれるリコピン、GABAによる血中コレステロール抑制効果および血圧抑制効果などの健康情報が報道され、これらが需要を支えてきた。しかし、こうした動きも昨年で一巡したため需要は低迷。業界では次なる活性策が待たれていた。

こうした折に発生した新型コロナ感染。2020年上半期の野菜飲料の販売量は前年同期比一ケタ台の伸びを達成し、特に大容量タイプが好調で、家族でシェアする機会の増加や個人の習慣飲用化も進んだ。コロナ禍により改めて野菜飲料のもつ免疫力が注目された。

野菜飲料は、大きな事件や事故、それに社会不安などが起こると消費者心理が大きく変化し、需要が伸びる傾向にある。中国の残留農薬事故やリーマンショック、冷凍餃子事件、東日本大震災の後の需要も極端に上向き、今回も新型コロナが需要に火をつけた。健康や生活防衛意識が強まる中で、食品や飲料に「安心」を求めるようになったためだ。

野菜飲料の業務用対策としても新たな取り組みが始まった。文部科学省は2019年12月に日本食品標準成分表において、「野菜類」に分類される食品として「野菜ミックスジュース」(通常タイプ、濃縮タイプ)を新たに追加したことで、「野菜ミックスジュース」を「野菜量」としてカウントできるようになった。「野菜ミックスジュース(通常タイプ)」は、トマト搾汁を主原料とし、他の野菜搾汁を加えた混合野菜搾汁で、学校給食は文科省の「日本食品標準成分表」をベースに献立が考えられるケースが多く、今回の追加により、学校給食において野菜ミックスジュース=野菜として扱うことが可能となり、新たな業務用開拓の期待が高まっている。

体調管理や健康・機能性を訴求した飲料が注目される中で、豆乳やヨーグルトドリンク、プロテイン飲料など健康軸の競合商品も相次いで発売され、野菜飲料メーカーでもカテゴリーをまたいだ商品を発売している。この背景には、流通が今後も伸びしろがあるととらえているためで、今後に向けて店頭での棚の奪い合いは一層白熱化することは間違いない。