コロナ禍で環境一変 生活行動変化、需要急拡大 チルド麺 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈10〉

2020第一四半期家計調査前年比

「市場は低調と言わざるをえず、業界全体として厳しい着地になるだろう」「過去5~10年で最悪」。いずれも1年前、2019年度上期のチルド麺市場に対する業界の認識だったが、「2月後半から3月にかけて、特需がかなり大きくきたこともあり、2019年度の市場(金額ベース)は4年ぶりに前年比100.5%と拡大した。2020年度も7月半ばまで前年比120%以上という大きな伸び」といったように、業界を取り巻く環境はこの1年で一変している。

調理に時間や手間がかかり、日配ゆえの賞味期限の短さという弱点を持つチルド麺。生活者の簡便・即食志向もあり、長らくダウントレンドが続いてきたが、外出自粛、在宅勤務の増加、小中高校の休校などにより家庭での料理機会が増加したことで、調理時間や手間、保存性というチルド麺の弱みが解消。「外食品質の本格的なおいしさが家庭で簡単に作れる」と評価されたこともあり、間口と奥行が一気に拡大した。

実際、2020年度第1四半期(4-6月)の家計調査(総務省)でも、チルド麺は購入頻度、支出金額、購入数量が前同比120~130%、購入世帯数も二ケタ近い伸びとなっていたが、こうした傾向は、緊急事態宣言が解除され、コロナ禍が落ち着きを見せ始めた第2四半期(7-9月)も続いている。

「購入経験率(間口)が前年比二ケタ以上と伸びている。新規ユーザーが大きく増えた」「チルド麺のユーザーは50代以上の割合が高かったが、(コロナ禍で)若年層(20~30代)や単身者が従来のユーザーに大きく乗った」(メーカー)と言うように、課題としていたネクストユーザー(若年層)のトライアルが一気に進み、価値を認められたことが、家計調査、市場動向、メーカー実績といった数字で示された形だ。

巷では「自粛疲れ」という言葉も聞かれるが、「コロナ禍でお客さまの価値観、消費行動に大きな変化が出ている。この変化は一過性でなく、コロナ前に元通りに戻ることはないと思っている」「コロナの直接的な影響は去っても、行動だとか、意識だとか、価値観だとかは、部分的には継続、定着するだろう」(GMS)というように、在宅勤務に代表される働き方改革、家庭内調理の定着といった変化は、「自粛」という意識を超え、今後も一定程度定着する見通し。

半面、「コロナをきっかけに内食機会は増え、手料理に対応した生鮮素材、調味料などの売上げが伸びているが、大きな流れとして総菜は継続的に伸びており、その流れは変わらない。共働きの世帯は増える中、総菜へのニーズは引き続き上がっていくのではないか」(SM)といったように、アフターコロナでは即食・簡便への回帰も予想される。

コロナ禍が経済に与えたダメージは大きく、景気の先行き不安、消費環境の悪化予想などもあり、生活防衛意識は高まる見通し。しばらくはチルド麺への追い風も続きそうだが、今回の特需を一過性の出来事に終わらせるか、さらなる成長への足がかりとするか。コロナ禍で獲得した新規ユーザーをいかに囲い込み、ロイヤルユーザー化できるかが、アフターコロナでの最初で最大の課題となりそうだ。