「高齢者の3人に1人が認知機能に悩みを抱える」 迫りくる危機に抹茶の一大プロジェクト展開 伊藤園

2025年、高齢者の3人に1人が認知機能に悩みを抱える――。

これは外部の報告書を基にした伊藤園の推計で、伊藤園はこの推計を“人生100年時代”と言われる超高齢化社会の課題と捉え、このほど開発した認知機能の精度を高める機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」を軸足にした抹茶の一大プロジェクト「ITO EN MATCHA PROJECT」を展開する。

18日、都内で発表した本庄大介社長は「商品化に留まることなく、社会課題に対する社員教育を進めて地域密着の営業活動としてお客様の生活をより豊かにできる提案を広めていきたい」と意欲をのぞかせる。

その原動力となるのは全国196拠点に配置された約3500人のルートセールス。

ルートセールスの地域密着型活動の一例。写真は病院に支援物資として「お~いお茶」とティーバッグ製品を搬入している様子。
ルートセールスの地域密着型活動の一例。写真は病院に支援物資として「お~いお茶」とティーバッグ製品を搬入している様子。

「ルートセールスという地域密着型ビジネスモデルを通じて高齢化に伴う地域課題に取り組む連携の輪を全国に広める新たな役割を担っていく」。

社三雄取締役専務執行役員は、認知機能低下の予防の柱として食生活・運動習慣・社会参加の3つを挙げ「特に食生活と社会参加については、伊藤園が社会貢献できるのではないかと考えている」と述べる。

社会参加については、社員教育として社員を「認知症サポーター」に養成し認知症への理解を深めて地域の認知症患者やその家族を支える環境づくりに協力する。

そのほか抹茶を使ったアレンジ飲料や料理レシピを提案して抹茶を食生活に取り入れてもらう活動や抹茶を囲んだコミュニケーション機会の創出に取り組む。

「抹茶の健康価値を正しく研究して正しくお伝えすれば抹茶の需要は拡大する可能性があり、これが世界に知れ渡ればさらなる需要拡大が期待できる。“おいしく・楽しく・健康的に”という世界感を演出していくことが抹茶を広めていく上で急務」と語る。

抹茶を食生活に取り入れてもらう活動にも取り組む。写真は伊藤園の「matcha LOVE」(東京都渋谷区)で販売されている「抹茶ラテ」と「抹茶パイコロネ」
抹茶を食生活に取り入れてもらう活動にも取り組む。写真は伊藤園の「matcha LOVE」(東京都渋谷区)で販売されている「抹茶ラテ」と「抹茶パイコロネ」

研究は、自社の研究に加えて、18年から島津製作所と筑波大学発のベンチャー企業MCBIとの3社共同で認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を対象にした臨床試験を進めている。

MCIは、日常生活への影響は軽微で認知症とは診断できない状態のことで、MCIを放置すると認知機能が悪化する恐れがある反面、生活習慣を改めるなどして予防に取り組めばMCIから健常な状態へ回復する可能性がある。

プロジェクトの主眼も健常者や認知症予備軍の予防にある。

「健常者の認知機能の低下を抑制するのが抹茶研究の背景。健常でも予備軍になる恐れのある方々を対象に、生活習慣を含めた予防にもっと積極的に関わっていく」考えだ。

機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」の370mlボトル缶とスティック商品
機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」の370mlボトル缶とスティック商品

プロジェクトの中核をなす食生活の提案としては、12月7日に抹茶で日本初となる機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」の370mlボトル缶とスティック商品(6本・32本)を新発売する。

同商品は、年を重ねるとともに低下する注意力・判断力の認知機能が気になる人を対象に、ボトル缶・スティックともに1日2本の摂取を推奨するもの。機能性関与成分として1日2本の摂取目安量でテアニン50・3mgと茶カテキン171mgを配合している。

このテアニンと茶カテキンの配合量については「ちょうどお点前1杯分の成分で、抹茶の妙味」と胸を張る。

品質・味わいについては「健康と本物を兼ね備えた製品開発を行っていく」(本庄社長)方針の下、同社独自の契約栽培の抹茶を使用し抹茶の豊かな旨みを引き出した点が特徴となっている。

12月9日から女優の有村架純さんを起用したTVCMなどで同商品をアピールしていく。