近畿流通業界 競争再燃の懸念強まる 慎重になる消費者 ロピア出店と鞍替えするDS・Dgs

家庭内需要の高まりにより、食品スーパーの収益が軒並み向上したこの上期。旺盛な買い込みで客単価は大幅に増加し、既存店売上げを押し上げた。一方でコロナ前から長期にわたり、多くのスーパーにとって課題となっていた客数は低迷したまま。密を避ける、つまり、買物客を集めないためにチラシを抑制し、営業時間を短縮したのだから無理もない。販促は特売からEDLPへとシフトし、チラシを打たなくても商品が売れるため、小売業のコストは抑えられ利益も稼げた。

「安売りが減って定番が活性化した。元に戻らなければよいが」と大手調味料メーカー、近畿地区の支店長。「第1四半期に上がった売価を崩してほしくない」。近畿に拠点を置く全国卸の幹部も同調する。ただ、同じ上期でも第1四半期に比べると、第2四半期の伸長率は鈍化傾向。ここにきて第3波の到来による不安感と収入減による不景気感も増しており、節約志向は強まる様相だ。

近畿エリアに展開するスーパー、さとうの佐藤総二郎社長は「上期より買い物に慎重な姿勢が見られる」と最近の消費動向をとらえる。関西スーパーマーケットの福谷耕治社長も「客単価が下がった状態のまま客数が戻らなければ、一気に厳しくなる」と危惧を示す。

この年末年始は例年と異なり巣ごもりの状態が予測され、家庭内の需要は活発になりそうだ。おせちの予約が好調なことは、その一端であろう。

だが、その後の不透明感は増す。「お正月商戦が過ぎれば節約ムードが一気に強まるかもしれない」(オークワ・神吉康成社長)。

懸念材料はそれだけではない。関西の業界関係者の間で最近、必ず話題に上るのがロピアの関西出店だ。大阪府寝屋川市を皮切りに兵庫県尼崎市、大阪市鶴見区へ立て続けに出店。前述の通りEDLPに慣れつつあった消費者に向け、NBのトップブランドを価格で訴求した。

対象となったメーカーの営業責任者は「せっかく安売りが収まっていたのに」と顔をしかめる。「局地的ならばよいが、多店舗化すると関西の価格が変わる」と懸念する。実際に出店したエリアの競合店は割引セールを実施するなど、価格競争再燃の場面が見られた。

また、関西にはインバウンド需要に頼っていたドラッグストアやDSが多く、それが消失したことで閉店あるいは方針転換する店舗が散見される。一部の店では食品をはじめとする日常品を強化、インバウンドに代わり、近隣住民の日々の需要を取り込むべくチラシを打ち出した。

また、コロナ禍で業績が悪化し、閉店を余儀なくされた衣料専門店なども増えており、その跡地への注目が高まっている。これまで郊外を主戦場としてきたドラッグストアやDSが、比較的都心部近くにあるこれらの物件を狙い、居抜きで出店する可能性も否定できない。

消費者の生活防衛意識の強まりと業態を超えた小売間競争の再燃。コロナの行方と同様、不透明感は増すばかりである。