包装餅 日常食として「再発見」 生活一変、家庭での利用進む 鏡餅商戦にも期待

本格シーズンを迎える包装餅商戦。餅といえば冬の食べ物といったイメージが定着しているが、コロナ禍に見舞われた今年は少し異変も。家庭内食需要の高まりから、オフシーズンの需要が例年に比べて堅調に推移した。年の瀬の鏡餅商戦にも期待がかかる。

切り餅・丸餅、そして鏡餅からなる包装餅市場。通年で販売されているものの、販売数量は1年のうちでも12月が4割程度を占めて突出する。

しかし今春の一斉休校、緊急事態宣言後には需要が急増。総務省の家計調査によれば、1世帯(2人以上世帯)当たりの餅支出金額は感染拡大が騒がれ始めた2月には前年同月比12.2%増、公立校の一斉休校が始まった3月には28.9%増、緊急事態宣言が発令された4月には30.4%増と、6月にかけて1~3割増で推移した。

メーカーの出荷数量も、この時期に大きく跳ね上がった。その後は企業によりまちまちだが、各社ともおおむね良好な数字を維持している。

外出自粛の広がりを背景に巣ごもり消費が増える中、主食として即食性や汎用性があり、なおかつ保存性がよく買い置きできる食品の需要が急増。一時は即席麺やパスタ、冷凍食品などが品薄となったスーパーの売場で、これらの条件に当てはまる商品として「再発見」されたのが包装餅だった。

餅はご飯替わりの主食として使えることはもちろん、子どもでも安全な電子レンジ調理ですぐ食べられるのが大きな利点。メニューも幅広く、朝昼晩の食事からおやつ、デザートまでさまざまな食べ方が可能だ。しかも保存性の面でも優れる包装餅は、賞味期限が常温で1~2年と長い。家庭に常備し、さまざまなシーンで臨機応変に活用できる便利な食材だ。

「今回は一時的な特需が収束してからも出荷量は安定して伸びている。災害用の備蓄のように単にストックしておくだけでなく実際に家庭内で消費されていることの表れだろう」(大手メーカー)。

一方、大晦日にかけての短期決戦となるのが鏡餅だ。良い年への願いを込めて飾る「お供え物」としての性格から、家庭内での食事が増えることによる直接の恩恵はあまり期待できない。とはいえ、帰省や行楽の自粛が広がるとみられるこの年末年始、家の中で過ごす人が増えることによる影響は十分に考えられる。

日本鏡餅組合が毎年行っているアンケート調査では「(鏡餅を)お供えしない理由」として「実家へ帰省したり、旅行で家にいないので買わない」「帰省先の実家で飾るので、買わない」といった回答が例年みられる。

こうした人たちによる新たな購買に加え、コロナ終息への祈りを込めて飾る人が増えることにも期待が高まる。