スーパー 生活様式一変、問われる変化対応力 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈1〉

競争激化や他業態の侵食を受けてきた食品スーパー(GMSの食品部門含む)だったが、「売上げと利益はコロナ特需でこうした結果(増収増益)となったが、特需であって、酔ってはいけない」(横山清アークス社長)というように環境が一変した。2月期、3月期決算企業の2020年度第2四半期業績は、新型コロナ特需による増収、粗利改善や販管費削減効果などで増収大幅増益となった。新型コロナの収束時期は見通せず、当面、追い風が続く見通しだが、景気の先行きに不透明感が漂うなか、販促施策、店舗競争力、デジタル・EC対応等々、アフターコロナを視野に入れた新たな競争ステージに移行してきた。

日本チェーンストア協会が発表した会員企業の2020年食品既存店伸長率=グラフ=は2月以降跳ね上がり、大幅な伸びとなったが、第3波が示す通り、出口の見えないコロナ禍は続き、下期は雇用不安、所得減等々で節約志向が強まる見通し。大手量販トップからは「雇用悪化による個人消費、購買力の低下は懸念材料。お客さまの価格感度、節約志向は高まる」(吉田昭夫イオン社長)、「景気の見通しは分からないが、財布の紐はしまってくると考えている」(岩崎高治ライフコーポレーション社長)、「下期の環境は、当初考えていたよりも相当厳しくなるという見方をしている」(川野澄人ヤオコー社長)等々、消費の先行きに対する厳しい見通しが示されている。

このため、下期は消費喚起に向け価格戦が激戦の様相。実際、「EDLP、期間奉仕などについてこれまで以上に踏み込み、価格面でお客さまに安さが伝わるということをやっていく」(岩崎ライフ社長)、「5~6月から順次、アイスクリーム等、若いお客さまが気にされるカテゴリーについて価格を下げた。DSへの対抗もしっかりやっていく」(川野ヤオコー社長)というように、勝ち組と位置付けられるスーパートップからも価格対応強化の声が聞かれる。

他方、企業のブランド力、店舗競争力の強化も大きなポイント。セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は「優位性のある立地で、品揃えと商品を磨けば、コロナ禍でもお客さまの支持を得られると考えている。下期は来期以降の成長に向けた改装等の投資の強化を予定している」と語り、商品力、品揃え、店舗改装等による差別化の重要性について言及した。

新型コロナ禍では、ネットスーパーの需要が急拡大し、非接触型のセルフ(セミセルフ)レジやキャッシュレス、マネキンなどに変わるデジタルサイネージ等々、デジタルシフトが進んでいるが、こうした投資は、アフターコロナ下、優勝劣敗の大きなカギとなりそう。価格競争に加え、店舗やデジタル、サービスレベル向上のための投資ができない企業は、競争から脱落することを意味する。

ビフォーコロナ時代、「トータルマーケットはどんどん縮小し、収益を上げるのが困難になっている。マーケットが縮小する一方、残った企業は大きくなり、マーケットの縮小と企業拡大という時期がしばらく続くだろう」(横山アークス社長)とされていた食品スーパー業界だが、新型コロナは人々の生活様式や働き方を変え、食品小売業態に対するニーズも変えた。先行きは不透明だが、今後の変化にどう対応していくか。これまで以上に変化対応力が問われる時代に入った。