製粉 激変する市場環境 国内企業、競争力強化を 連載・アンダーコロナキッチン第1章「食料供給」〈5〉

巣ごもり需要の拡大で売上げが伸びた代表的な家庭用加工食品は、袋めん、カップめん、乾めん、生めん、パスタ、ケーキミックス、小麦粉、天ぷら粉、から揚げ粉など。多くが小麦関連製品で占められている理由は、常温で長期保存できる点にある。

日本では原料小麦の約90%を海外からの輸入に頼っている。主な輸入先は米国、カナダ、豪州で、農林水産省が国家貿易により一元的に輸入し、製粉会社に売り渡してきた。政府売渡価格は、相場連動制により直近の輸入価格の動向を反映し、半年ごとに改定。令和2年10月期の輸入小麦の政府売渡価格は、5銘柄加重平均(税込み価格)で4万9千210円に。前期(4月期)と比べ4.3%引き下げられた。政府売渡価格は、輸入価格にマークアップと呼ばれる輸入差益を加えて構成される。

近年、国内製粉市場ではTPP11協定や日欧EPA協定、さらには日米貿易協定の発効により、小麦関連製品の関税について削減・撤廃が進行。原料小麦のマークアップも段階的に削減されることになった。関連製品の多くは国境措置が撤廃されたことで、日本への輸入が容易に。こうした市場環境の変化により、国内の製粉会社には輸入品に対抗すべく競争力の強化が求められている。

米国農務省穀物等需給報告では、2020/21年度の世界の小麦生産量は7.7億tと消費量の7.5億tを上回り、史上最高となる見通し。豪州やカナダでは天候に恵まれ、生産量は前年度を超えると見られている。また、世界の消費量も中国などの増加から史上最高水準に達する見込みだ。(表下記事続く)

2020/21 世界の小麦需給動向

農林水産省が3月に発表した日本国内の需給見通しは、食糧小麦の総需要量が580万tで、国内産小麦の流通量は91万t、外国産小麦は486万tと想定。ここ数年は人口減と少子高齢化の進行により、国民1人当たりの小麦年間供給量は32.3kgで横ばいが続く。中長期的な見通しでは、国内需要は頭打ちが続くと予想されるが、アジア地域でプレミックス需要が増加。国内メーカーも生産や営業拠点の開設に動くなど大きな期待を寄せている。

コロナ禍で家庭用の小麦関連製品が棚から消えていった一方、用途の多くを占める業務用製品は大きく低迷。外食産業や土産物業界では、生活者の内食シフトのみならずインバウンド需要の消失も大打撃だった。外食産業はGo Toキャンペーンで盛り返しの兆しを見せたものの、キャンペーンの運用見直しや一時終了で再び低迷する可能性が出てきた。

さらに第3波が襲来したことにより、今後の需給状況は不安視されている。顧客である業界が悲鳴を上げているが、製粉各社も厳しい局面を迎えている。