砂糖 国内消費量、約6%の落込み 原油安でバイオ燃料から回帰 連載・アンダーコロナキッチン第1章「食糧供給」〈2〉

世界の砂糖生産量 市況 バイオエタノール

世界の砂糖産業もコロナ影響を受けているが、大きなトピックスは世界最大の生産国ブラジルがバイオエタノール向け粗糖を砂糖向けに振り分けていることだろう。経済停滞による原油安が原因だ。一方、日本国内では同じく経済低迷で前砂糖年度(2019年10月~今9月)の砂糖消費量が約6.3%減(11万6千t)と大きく落ち込んだ。コロナ影響が強まった下半期(4-9月)は約10%減という衝撃的な数値だった。

生活に欠かせない砂糖の供給力という意味では現在問題ないだろう。世界の砂糖生産消費予測(LMC International)では、今砂糖年度(2020年10月~2021年9月)の世界生産量は前年比2.1%増の1億8千453万t(粗糖換算)で、消費量は1.3%増の1億8千4万tと見ている。ただし、日本を含めてコロナ第3波が襲っており、都市封鎖など消費量の下方修正は余地が残る。

さて、グラフに示す通り世界の主な砂糖生産国でブラジルが約23%を占めている。日本の粗糖輸入先は豪州(71.1%)、タイ(28.1%)で99%を占める(通関統計)ため、直接関係する訳ではないが、ブラジルは国策(RenovaBio)としてバイオ燃料の生産・利用の促進を図り、サトウキビの生産意欲が高い。現状では収穫された粗糖の約50%をバイオエタノールに振り分けている(近々に60%に向かう方針)。ところが世界経済の低迷で原油安となり、バイオ燃料の需要も低迷。するとブラジルの製糖企業がバイオ燃料向けから砂糖生産に回帰し始めている。これにより同国からの砂糖輸出量が約6割増になると見られている。このことからも砂糖供給に対する不安が小さくなっている。

もちろん、ブラジルだけが世界流通の決定要因ではなく、インドの旺盛な需要が自国生産で間に合わない、もしくは蝗害などによって激減すれば大輸入国になって相場高騰の原因になる可能性もある。今年はラニーニャ現象が発生していることから豪州の収穫期に影響があるなど、砂糖も植物なので自然の影響を常に受けて推移している。

また、気になる砂糖相場はニューヨーク粗糖先物相場で4月にはコロナ影響から10ドル台まで急落したが、10月には原油価格の戻りとあわせて14ドル台まで回復している。現在も投機資金の流入と相まって変化が続いている。

日本国内のコロナ影響はどうか。まず日本の砂糖は輸入が約7割、国産約3割で構成されており、「糖価調整制度」によって輸入糖から調整金を徴取して、国産糖(北海道のてん菜、鹿児島・沖縄のさとうきび)の価格差などを埋めている。しかし、国内消費量が減少すると輸入量が減り、調整金の比率も高まる欠点がある。特に前砂糖年度は国内消費量が約6%減という衝撃的な数値だった。弊害は調整金負担増大(価格競争力低下)、工場稼働率の低下、利益減など多岐にわたる。これまでも消費減少(平成で約28%減)に伴い統合再編を繰り返しており、先ごろも業界トップの三井製糖と大日本明治製糖が経営統合を発表している。国産の自給率も大事ながら制度を支える製糖企業の持続的経営に向けた議論もコロナが早めるかもしれない。