製油業界 需要激変で舵取り難航 再びコスト上昇局面に 連載・アンダーコロナキッチン第1章「食糧供給」〈1〉

新型コロナウイルスの感染拡大は、食品業界に多大な影響を与えた。世界中に感染が広がり、人の移動が制限される中、直後はサプライチェーンの寸断も懸念されたが、わが国の食糧供給の根幹を担う穀物輸入に大きな支障はなく、製油業界は食生活に欠かすことのできない油脂・ミールの安定供給に努めてきた。

2月末の休校要請直後から家庭用の需要が急増し、緊急事態宣言下も受注・生産・物流現場はフル稼働で増産を続けてきた。万一の事態も想定し、事業に及ぼす影響を最小限に食い止めるため、部門単位でのスプリット勤務や営業・事務部門のテレワーク導入も進んだ。

こうした必死の取り組みもあり、供給面で大きな混乱はなかったが、外食需要の消失による需給変動の影響が顕在化した。家庭用製品の需要が急増する一方、業務用は外出自粛や外食店の休業要請の影響で、5月の業務用JAS数量は前年比52%減と半減。4-6月累計でも25%減、例年の1か月分を上回る3万8千tが消失し、搾油量にも大きな影響を与えた。

表は今年1-9月の原料処理量(搾油量)、油脂・ミールの生産・在庫量の推移だが、5月以降、原料処理量が前年を下回る中で、油脂の在庫は増加傾向にある。一方で連産品のミール(油かす)の需要は油脂ほどの波動はなく、国産ミールの減少をカバーする形で輸入ミールが増加し、製油各社は難しいオペレーションを強いられている。

外食市場は徐々に回復傾向にあるが、しばらくは厳しい状況が予想される。家庭用の伸長は追い風だが、物量ベースで7割を占める業務用・加工用をカバーすることは難しい。さらに夏以降、大豆・菜種の原料相場が反転上昇し、搾油採算の悪化が懸念されている。シカゴ大豆相場は2年半ぶりに11ドル水準に急騰し、菜種もトン500ドルを突破。下期以降、油脂コストの上昇が避けられない展開で、製油各社の収益環境は一層厳しさを増している。

テイクアウトや宅配の拡大も含め、外食市場の早期回復が焦点となるが、新たな生活様式のもとで、以前と同じ状況に戻るかは不透明だ。対面業界が厳しい中、今後の油脂コスト上昇に製油各社は危機感を強めている。

また、中長期的な視点では、人口減少などを背景に国内市場の需要変化のスピードが、今回のコロナで早まる可能性もある。世界的な食糧問題や環境対応、国内では物流危機などの難題が山積する中で、わが国の食を支える油脂とミールの安定供給をいかに確保していくか。折しも、コロナ禍の3月末には日清オイリオグループとJ―オイルミルズの2大メーカーによる製油事業の川上領域における業務提携が合意した。本格的な取り組みはこれからだが、製油業界はアフターコロナも見据えた変革の只中にある。(表下記事続く)

2020年1-9月 原料処理量(搾油量)、油脂・ミール生産・在庫量推移

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食品新聞発刊1万号記念
連載「アンダーコロナキッチン」 スタート

弊紙「食品新聞」は11月20日付で発刊1万号を迎えます。1946年11月25日の第1号(関西食糧新聞社当時)の発刊以来、多くの読者、スポンサーの皆さまに支えられて今日に至ることができました。重ねて御礼申し上げます。

これを記念して連載「アンダーコロナキッチン」をスタートします。コロナ影響下にある食品カテゴリーを3テーマ「食糧供給」「需要激変」「新たなニーズ」に分けて現状と展望、食品ビジネスの潮流変化を描きます。