見直される虚礼

師走を前に、企業から年賀状を辞退する挨拶はがきが届いた。社会情勢や企業の働き方改革の一環として業務を精査して年賀の挨拶業務を取りやめるという。

▼コロナ以降、これまでの生活が一変して、義理で続けてきたご近所づきあいや地域の寄り合い、形式的な会食から離れた人は多いのではなかろうか。自身も多少の寂しさを感じるかと思ったら、案外すっきりとしている。人との付き合い方を見直し、本当に大事な人とつながる好機になった。

▼この傾向は儀礼の代表格である中元・歳暮にも顕著に表れている。今年は法人需要が一段と減少する中で、パーソナルギフトと自家需要がこれまでになく好調だ。年末年始の帰省や旅行を控え、家で正月を迎える人が多いらしく、土産代わりに進物を贈り、自宅用に産直の生鮮品や鍋物セットを購入する客が多いという。虚礼を廃した結果、家族や身近な人との関係が濃くなった。

▼自粛と制限が続く生活に、息苦しさを感じる人は多いだろうが、少し視点を変えれば、今までの煩わしい人間関係や風習をリセットするチャンスかもしれない。