生産者漸減も量の維持向上に努める 奈良県三輪素麺工業協同組合 池側義嗣理事長

伝統製法で作られる手延べそうめんは、機械麺に比べて人の手が多くかかる。近年は高齢化や後継者不足による生産者の廃業、人件費などのコスト高騰が価格に転嫁できず、全国の産地で課題となっている。手延べ麺の発祥地で地域一の生産量を誇る同組合の方針について池側理事長に聞いた。

――春夏のコロナ特需の影響は。

池側 市場では機械麺や島原産の手延べ麺など比較的安価な商品が好調に推移し、それらの在庫がひっ迫した時には三輪産の問い合わせも増えた。もともと組合の在庫は昨秋時点で少なめだったが、地元問屋の申し込み数量と生産予定数量がほぼ同等だったので賄えると判断していた。しかしコロナで需要が高まって在庫が足りず、一部を断わらざるを得ない状況だった。いま再び在庫はぎりぎりな状態になっている。

――9月以降の今年度産の生産計画は。

池側 前年度1万箱減の10万箱を計画。組合員が毎年3~4軒減り続け、現在の加盟数は67軒、うち実質生産者は60軒を割っている。若い人がいないので減る一方だ。

――新規生産者を受け入れる考えは。

池側 これまではなかったが、今もし申し込みがあれば断らずに受けるつもりだ。仮に都会から移り住んで、休業者の設備を借りて生産したいという要望があれば、われわれも応援したい。ただ生産工場は普通、家屋の一部に設けることが多く、その辺の調整が難しい。地域産業振興のためにも今後は奈良県だけでなく、いろんな行政の応援が必要になってくる。

――直営工場を建てるプランはありますか。

池側 生産者が減り続けるなら、量の確保のためにも直営設備が必要だ。地域問屋が毎年一定量を購入する確約をしてもらえるなら実行可能で、いま(奈良県三輪素麺)販売協議会と話し合っている。問屋はこれまでそうめんが売れた時は買うが、売れない時は必要分しか買わないと不安定要素が多かった。島原産を仕入れる業者も多かったが、島原も三輪同様に生産者が減少傾向にあり、徐々に三輪産への需要が戻ってきているほか、海外向けのオファーも増えている。国内外に供給できる生産体制を整えていきたい。

――秋から値上げの予定でしたが進捗状況を。

池側 春から交渉をしている。コロナで市場が不透明となり一時とん挫していたが、再交渉に努めている。値上げ要因は原料小麦だけでなく、むしろ人件費の高騰が大きい。パートの時給は5年間で150円上がり、1箱換算(18kg)で105~200円の経費増。将来的に生産を続けるためにも、なんとか値上げ率2~3%はお願いしたいと考えている。