変化をチャンスに 「構造改革」恐れず実行 スギヨ 杉野哲也社長

水産練り物メーカーのスギヨ(石川県)は、ウイズコロナの環境変化をチャンスに、業務のスリム化を図る一方、商品や販売戦略の在り方を見直す。拡大するEC市場にはクラウドファンディングなどを活用して新たな販売方法を模索。変化に強い企業を目指す。

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――コロナ禍の影響は。

杉野 同業他社に比べて業務用比率が高いこともあり、4~6月の第4四半期には観光向けや学校給食、輸出の売上げが激減した。市販用は好調だったが、業務用をカバーするに至らず、前6月期は減収減益になった。7月以降は、経済回復が早い中国への寿司ネタ向けカニカマの輸出を中心に戻ってきている。一時期はドカンと落ち込んだが、今は生産が受注に追い付かない状況。国内も回復しつつあるが、バイキングのようなウイズコロナ下で敬遠されている食形態への販売が厳しい。

――経営方針は変わりましたか。

杉野 コロナ前に策定した中計テーマ「構造改革」は変わらず実行したい。ITやDXを採り入れてスリム化すべきところを進め、人がやるべき仕事はブラッシュアップして、それを従業員の皆さんに求めていく。コロナで働き方や取引先との関係が変わり、以前は実行し難かったことが可能になってきた。変化を恐れず、根本的に見直すチャンスだととらえている。

その一方で、マーケティングや商品開発は計画を変更せざるを得ない。市場では内食化が進んでいるように見えるが、コロナ前の食環境を考えると、この状態が3年、5年続くとは思えない。家庭用も業務用も、その時代のお客にマッチしたものが生き残る。環境に即したすり身商品を、いかにスピードをもって作るかが課題になりそうだ。

――内食化で今後、ECサイトなどの重要性が増すと思いますか。

杉野 現在の国内ECは、検索すればヒットする商品が多過ぎて有象無象な状態。また細かい食流通がかえって弊害となり、中国の方がシンプルな仕掛けで大量に物が動く印象を受ける。確かに自粛期間中は、自社サイトや楽天などの売上げが好調だったが、これが当社が目指す姿ではない。消費者とコミュニケーションが取れ、なおかつ今とは少し形が変わったECがあればと感じる。

最近はクラウドファンディングで「緑色のちくわ」の購入者を募った。地元の消費者から、人気アニメ「鬼滅の刃」で竹を咥えているキャラクターを子どもが真似するので、口に含んでも安全なものがないかと相談があった。商品化には一定のロット数が必要で、最低人数が集まれば機械を動かし販売が可能だ。消費者とコミュニケーションの場を新たに設けることにより、われわれが想像できないニーズが見えてくる可能性がある。