消費者起点の売場活性化へデジタルサイネージ活用 伊藤忠食品

伊藤忠食品の岡本均社長は10月30日、第2四半期決算会見(オンライン開催)で今期からスタートした新中期計画「Transform2022~領域を超えて~」の取り組み状況を説明。コロナ禍で市場環境が激変する中で、デジタルサイネージを活用した消費者起点の売場づくりによる価値創出や、ダイバーシティの推進を加速させる方針を示した。

上期決算(4-9月)は売上高3千389億円(0.1%減)、営業利益19億円(35.8%増)、経常利益25億円(30.9%増)、当期利益18億円(39.8%増)。売上高は、業務用のコロナ影響もあり前年並みにとどまったが、物流費や販管費の改善により増益につなげた。

新たな取り組みでは、料理動画サイト「デリッシュキッチン」を運営するエブリーと連携し、小売店店頭に設置したデジタルサイネージを活用した売場づくりを推進。「定量的な成果はこれからだが、小売店のニーズは高い」(魚住直之執行役員経営統括部門長)。都市圏のスーパーを中心に導入が進んでいるほか、歳暮期に向けて百貨店のギフトコーナーでの販促活用も広がっているという。

また、取り組みを進めてきたデジタルギフトの展開も強化。コロナ禍で非接触ニーズが高まる中でポスト投函型デジタルギフトの取り扱いアイテムを拡充し、新たな価値創出につなげる方針だ。

上期の業績について、岡本社長は「コロナでさまざまな変化があったが、一昨年からの急激な物流費上昇に対するマネジメントの成果が出てきた」と一定の手応えを感じながらも、「長年築き上げた食品流通のバリューチェーンは優れたシステムだが、世の中のライフスタイルや働き方、環境問題などの変化に対して、従来型の垂直方向のバリューチェーンだけでは限界がある。アフターコロナでニューノーマルへの対応が求められる中、(従前のままでは)食品流通を担う卸には居心地の悪いものになる」との危機感を示した。

さらに「デジタルトランスフォーメーションの時代には、問屋の存立基盤であった取引総数の最小化や不確実性プールの益が薄まる可能性がある。ロジスティクスやマーチャンダイジング、ファイナンスなどの機能も単独企業だけで果たせる役割は成果が望みにくくなっている」と指摘。

こうした現状認識のもとで今期からスタートした新中期経営計画では、「製配販連携により消費者に新価値を届けるエコシステムの形成」を基本戦略に据え、「3層それぞれが消費者に向き合い、バリューを生み出すことが重要になる」(岡本社長)と強調する。デジタルサイネージの取り組みはその一つで、小売・メーカーと消費者起点で売場を活性化し、そこで得た対価をシェアし、さらなる成長につなげていく考えだ。

10月から新たに「ダイバーシティ推進室」を設置。女性活躍推進を皮切りに消費者目線の経営を推進し、社内外のコミュニケーションをこれまで以上に深め、ビジネスモデルの変革につなげていく方針を示した。