細菌やウイルスから体を守る腸管免疫って? 大塚製薬がセミナー

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス、食中毒を引き起こすような細菌などの多くの病原体は粘膜組織から感染する。感染から守る防御手段の一つに免疫があり、とりわけ重要とされるのが腸管や呼吸器などの粘膜組織に存在する「粘膜免疫」と呼ばれる免疫システム。

この粘膜免疫について、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターセンター長の國澤純氏は「病原体がまさに体の中に入ろうとしている粘膜組織最前線での防御バリアとして非常に重要。感染そのものを防御できるシステムとして、現在、“吸うワクチン”や“飲むワクチン”として粘膜免疫を活性化させる粘膜ワクチンの開発が進められている」と説明する。

免疫システムは全身免疫と粘膜免疫に大別される。

全身免疫は粘膜組織での感染そのものを抑えることができず、血液や脾臓などで病原体が体の中に入った後に病気の重篤化を防ぐ役割がある。そのため「注射によるワクチンは病気の重篤化を抑制することを主目的としている」。

國澤氏は、病原体の感染そのものを防ぐ粘膜組織を代表するものとして腸管免疫を挙げる。

「腸には体の半分以上の免疫細胞が集まっていると言われ、さらに腸管免疫は腸管局所だけではなく体の他の部位の免疫機能にも影響を与えることが知られている。免疫を考える際には腸の免疫が非常に重要と言われている」と語る。

腸管の免疫システムはこうだ。

腸管のひだ状の構造となっている絨毛(じゅうもう)の一番外側にある上皮細胞が壁となってバリア機能を果たしていることに加え、絨毛の中の上皮細胞の内側に、病原体が細胞に結合するのを阻止する機能に特化したIgA(免疫グロブリンA)抗体を産生する細胞が集積している。

IgA抗体は腸管の絨毛組織にとどまらず、上皮細胞の壁をくぐり抜け、管腔の中にまで分泌されてウイルスや細菌などの病原体に結合する。

「IgA抗体は唾液や呼吸器でも産生されることから、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどにも有効であると期待される」と指摘する。

IgAの産生には古くから腸内細菌が重要であるとされ、腸内細菌のもう一つの重要な機能に、免疫を上げすぎない働きがある。

病原体に対する免疫が強くなり暴走状態になると感染症の重篤化につながる。國澤氏はその一例として新型コロナウイルスを挙げる。

「新型コロナウイルスによる重症化の一因であるARDSと呼ばれる急性呼吸窮迫症候群は、免疫が暴走状態となることで炎症性のサイトカインが大量に産生されるサイトカインストームが原因であると言われている。つまり、私たちは病原体に対する生体防御として必要な免疫力を維持しつつ、免疫を暴走させないための整った免疫状態を維持することが非常に重要」と述べる。

IgA抗体産生促進に適した細菌としてはアルカリゲネスを紹介。加えて「腸内細菌だけではなく、さまざまな製品に使用されている乳酸菌でも適度な免疫の活性化状態を維持することが分かってきている」と説明する。

医師で医学博士の新開省二氏は植物由来の「乳酸菌B240」が腸(小腸)を刺激すると、小腸上皮細胞からSIgA(分泌型免疫グロブリンA)の分泌が高まり全身の粘膜免疫機能が高まることを紹介。継続摂取で唾液中のIgA分泌が高まるという内容や風邪罹患の割合が低下し健康関連QOLも向上したという内容の乳酸菌B240に関する臨床試験についても触れた。

なお、大塚製薬は10月22日、免疫に関する正しい理解促進を目的に、國澤氏と新開氏を講師に招きプレスセミナーを開催した。