食物アレルギー 社会的な認識強まる コロナ禍で苦慮も外食への波及に期待

アレルゲンを含む食品の特定原材料表示が義務化され、まもなく20年になる。この間、食物アレルギーに対する社会の認識は強まってきた。流通サイドの関心も高く、小売業から食物アレルギーに配慮した商品を販売するメーカーに対し、商品の問い合わせや企画を要望する声も増えている。

今年は新型コロナによる外出自粛の影響で、特に3月から5月にかけて家庭用加工食品の需要が急増。商品によっては欠品や品薄の状態が長期間続いた。一方、アレルギー配慮商品については「突出して伸びたということはなかった」と商品を販売するメーカーは口を揃える。もともと、食物アレルギーの家族を持つ家庭は普段から内食に慣れていることが多いため、他の家庭のようにスーパーで必要以上の商品をまとめ買いすることもなかったのが一因と考えられる。

加工食品のアレルゲン表示が義務化されているのに対し、外食や中食には表示義務がない。食物アレルギーを持つ家庭は内食に慣れているとはいえ、在宅時間の長期化で調理回数が増え、コロナ前より調理の負担が増したのは他の家庭と同様だ。外食産業で拡大したテイクアウトを利用したいが、接触や会話を避ける風潮が強まる中、使用原料などについて聞きづらくなり、利用を控えている家庭も多いという。

他方で食物アレルギーに対する社会的な認識が強まるとともに、外食業界においても自主的に表示をする企業が増えている。NPO法人「アレルギーっこパパの会」の今村慎太郎理事長は「従来はリスク回避を優先させ何も対応しないところが多かったが、現在は不可避の問題として認識し、規制のない中でも対応しようとしている。それだけ社会の理解が深まった」と説明する。

家庭用では食物アレルギーに配慮した商品を販売するメーカーが増え、流通からの関心も強まった。オタフクソース、永谷園、日本ハム、ハウス食品の4社は2年前から「プロジェクトA」として、レシピ開発などに協同で取り組んでいる。

こうした活動への注目度は高く、それが内食だけではなく外食にも波及すれば「結果的にわれわれも店に行きやすくなる」と今村氏は期待を示す。

現在はコロナで苦境に立たされている外食産業だが、食物アレルギーを意識した取り組みが定着すれば店にとっては新たな顧客の開拓に、メーカーにとっても関連商品の拡大と浸透につながる可能性を秘めている。