伝統守り、次なる進化へ 愛知・甘強酒造 山田洋資社長

みりん・清酒・発酵食品等の製造販売を手掛ける甘強酒造(愛知県蟹江町)は、1862年(文久2年)創業、今年158年目を迎えた。1935年(昭和10年)、“甘みが強くて、旨みの強いみりんを造り続ける”との想いを込めて現在の社名に変更。主力ブランド「甘強みりん」や「昔仕込本味醂」、「清酒 四天王」など、原材料や製法、味や品質へのこだわりを守りつつ、時代に即した進化を続けている。

その七代目蔵元として、今年6月1日付で代表取締役社長に就任した山田洋資氏は1982年(昭和57年)生まれ。大学では発酵バイオ等について研究。卒業後、すぐに同社に入社し、中国に1年間の語学留学。そのまま同地に留まり、上海と中国の工場で2年間勤務する。

帰国後は品質管理部門、東京事務所で営業職を経験。本社に戻り、14年から専務取締役として主に商品開発や工場の生産管理部門を担当。今夏、経営のバトンを引き継いだ。

前6月期売上高は前年比約10%減の着地。コロナ禍の影響で、主要販路である外食・業務用が苦戦。惣菜分野やスーパーなど市販用はやや商いを増やしたが、業務用の落ち込みをカバーするには至らなかった。

今期第1四半期(7-9月)も基調は大きく変わらないが、「ここ最近は中国での取引が復調し、他の落ち込み部分をカバーしている」という。一方、国内においては、「飲食業態の苦戦が続く中では、リスクヘッジを進めていくことが必要。小売向けや通販をどう強化するかが今後の課題の一つ。通販は、ベースはまだ小さいものの売上げを約2倍に伸ばしている。また、一般消費者に向けては、主軸である純米みりんの機能性など、健康に資する部分をどのようにアピールしていくか。そうした準備も着々と進めている」とのこと。

主な商品として、みりん、清酒のほか、食品部門ではうなぎ蒲焼のたれや漬け床、塩糀、甘酒などを展開。昨年、業務用で発売した液状・薄にごりタイプの漬け床「液状塩こうじ」も徐々に認知度を高めてきた。

入社以来、商品開発や味・品質のブラッシュアップには格別の力を注いでいる。「清酒は3年前に愛知県産の酒造好適米『夢吟香』に全量切り替えた。さらに今年7月からは、市販用『甘強みりん』(300㎖・500㎖・1ℓ)の原料をすべて愛知県産に変更している。今後は、米作りの段階から、より深く踏み込んでいきたい」とする。

「これまでのように業務用ばかりだと、消費者の顔がなかなか見えてこない。やはり、お客さま一人一人の反応が見られるのは大事。今回のコロナ禍を機にチャネル戦略を見直し、バランスの良い収益構造への転換を図る。同時に、より安全・安心な商品作りを推し進めていく」と抱負を語った。

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山田洋資氏(やまだ・ようすけ)=1982年(昭和57年)1月12日生まれ、38歳。04年3月京都大学農学部卒業、同4月甘強酒造入社。上海・中国の製造工場、東京勤務等を経て、12年本社工場配属。14年専務取締役、20年6月から現職。