ネットスーパー急成長 収益性の確保が課題に

「9月末現在、56店でネットスーパーを展開中だが、上期(の売上高)は前年比140%超という数字。7月、8月だけ見れば前年比150%超」(岩崎高治ライフコーポレーション社長COO)。ネットスーパーを中心とする量販のEC事業が急成長している。新型コロナウイルス感染症による巣ごもり消費、まとめ買いが一定程度定着したことで、“在宅で安全に”へのシフトが加速しているため。“店にいく必要すらない”ネットスーパーをめぐる動きは風雲急を告げている。

簡便・即食からの急激なシフトという環境変化を受け、ライフでは「下期はさらに10店程度、新しくネットスーパー実施店を増やす。既存の店のキャパシティ(人員、車両、配送体制)も整備し、能力を上げていこうと考えている。(Amazon「PrimeNow」)を含め、昨年度のEC事業はトータル30億円程度の売上高だったが、今期は着地で50億円程度は見込めるかなという状況。来期は100億円まで伸ばしていきたい」(同)と意気込む。

一方、ネットスーパーの課題とされる収益性については「黒字化のポイントは、売上げに加えピッキング、パッキングと配送をいかに効率的にするか。売上げと効率的な配送のバランスをどうとるかが非常に重要。売上げを上げるだけなら簡単。ネットスーパーを事業として成立させながら、どう拡大していくかがこの事業の難しさでありポイントだ」(同)と指摘する。

イトーヨーカ堂は今年、「イトーヨーカドーネットスーパー」のWEBサイトなどの仕組みを大幅にリニューアルした。配達指定日を、注文日から7日先まで選択できるようにするとともに、ネットスーパーの画面上に常駐する「カート」の表示を変更。“中身がいつでもわかる”仕様にするなど、利用者の利便性向上につながるよう仕組みを見直したほか、首都圏59店(7月時点)では、配送料の設定に“ダイナミックプライシング”の考え方を導入。配送料を220~330円の変動制とすることで、課題とされる配達の平準化も狙った。

イオンもネットスーパー育成に注力する
イオンもネットスーパー育成に注力する

利便性の向上を図るべく、「いつものセット購入」を追加した。これは過去の購入履歴をもとに、購入頻度の高い品目を自動登録する仕組み。「いつものセット」購入を選択することで、該当商品が一度にカートに投入される仕組み。6月に導入したアプリでは“献立を考える”という家事軽減のニーズに応えるべく、献立メニューの材料をまとめ買いできる機能も搭載するなど、利便性向上に向けたネットスーパーサービスの強化を進めている。

ネットスーパーについては「新型コロナウイルスの影響で外出を自粛しているお客さまの購買行動に変化が見られる。ネットで生活必需品をまとめ買いするお客さま、ミールキットなどを購入するお客さまが急増している」(大手量販トップ)というように、ニーズは急拡大しているが、収益性と利便性の両立という課題をいかに克服するか。今後の優勝劣敗のカギとなりそうだ。