腸は感染予防の最前線 ビフィズス菌+食物繊維で免疫力アップを 江崎グリコがセミナー

感染予防の4ステップ ©2020Matabologenomics,Inc.
感染予防の4ステップ ©2020Matabologenomics,Inc.

大腸の中に高密度に存在するビフィズス菌などの腸内細菌が、食物繊維やオリゴ糖から代謝物質(短鎖脂肪酸)を生み出し、その代謝物質の一部が腸管から吸収されて血中に入り全身を巡る――。この事実から「腸内細菌は腸だけではなく全身の健康維持に大きな影響を与える」と指摘するのは慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授でメタジェン社長CEOの福田真嗣氏。20日、江崎グリコが開催した「with Glico ウェルネスキャンパス」で腸内環境の正しい健康知識をテーマに講演した。

福田真嗣氏(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
福田真嗣氏(慶應義塾大学先端生命科学研究所)

福田氏はウイルスや細菌などの病原体の感染予防については粘膜免疫系の重要性を紹介。「腸管内は体外の環境とつながっており栄養素を吸収する以外に、粘膜免疫で最前線のバリアを張り病原体を体内に侵入させないように体を守っている」と説明する。

粘膜免疫は、口腔内や肺にも存在し常にバリア機能を働かせている。

これら粘膜バリアで感染防御を担うのはIgA(免疫グロブリンA)抗体で、全身の粘膜で作用し細菌やウイルスの侵入を防ぐほか、抗原特異性が広く、さまざまなウイルスに結合することができる。

感染予防にはIgAを大量に分泌することが効果的で、そのためには腸内細菌が大腸でつくる短鎖脂肪酸がカギとなる。

短鎖脂肪酸は、小腸で分解・吸収されないままに大腸に到達した未消化物が分解されてつくられたものを示す。大腸に届くと腸内細菌によって、主に酢酸・プロピオン酸・酪酸の代謝物質が生み出され、短鎖脂肪酸はこれらの総称となる。

短鎖脂肪酸を増やすには、糖質と食物繊維を含む炭水化物(Microbiota-accessible carbohydrates=MACs)を多く摂取することがポイントとされる。

具体的には穀類、海藻類、豆類、野菜類、きのこ類、果物類、芋類、種実類などが挙げられ、これらは大腸に届きさまざまな腸内細菌に利用される。

「オリゴ糖やイヌリン・βグルカンの食物繊維を含むMACsなどの未消化物がビフィズス菌などの腸内細菌で分解されて短鎖脂肪酸がつくられる。さらに短鎖脂肪酸が免疫細胞に作用してIgA産生などを増強する。小腸・大腸ともにIgA産生が誘導されるが、大腸の場合はこれに加えてMACsを摂取することで腸内細菌から短鎖脂肪酸が大量につくられる」と述べる。

福田氏はニューノーマル時代のヨーグルトとして、普通のヨーグルトの乳酸菌に加えてビフィズス菌とMACsをあわせて摂取することを推奨。「短鎖脂肪酸を増やすことで最終的に免疫力アップにつなげてもらいたい」という。

腸内細菌の種類やバランスは個人差があり、将来的には各人の腸内環境に適したアドバイスが可能となるが、現在はその研究途上にある。「基本的に食物繊維の摂取量が全く足りていないので、どれがいいかを選ぶのではなく、いろいろなものをたくさん食べることがファーストステップ」と語る。

自身の腸内環境を把握する術については、腸内細菌の情報源とされる大便のチェックを勧める。「色や形、においをみてもらいたい。1年間に何回排便するか頻度も把握してもらいたい」と語る。

続いて江崎グリコ商品開発研究所の齋藤康雄氏は、乳酸菌を小腸で戦う“腸の守護者”と位置づける一方、重要な要素として大腸に所在するビフィズス菌とフィーカリ菌があるとし、「ビフィズス菌とフィーカリ菌は長寿の人に多いことから2つあわせて長寿菌と言われる」と語る。

これら、おなかのバランスを整えるバランス調整菌と、おなかのバランスを乱す菌の比率から算出された指標を“腸内年齢”とし、腸内年齢を若くするお勧めとして、おなかを動かし腸を刺激する運動と食物繊維の摂取、ビフィズス菌の補給をあげる。