税率改定のビール類 9月、駆け込み需要 10月、ビール大幅増

酒類大手4社が12日に発表したところによると、9月には新ジャンル(第3のビール)の駆け込み需要が発生して前年同月比118%と高い伸びを見せた。10月1日の酒税額改定を踏まえた駆け込み需要だったとみられている。

税額は今年から26年までに3段階で改定される。ビール・発泡酒・新ジャンルは26年10月に350㎖あたり54.25円に一本化。今回ビールが77円から70円に減税、新ジャンルが28円から37.8円に増税され、価格差が縮小することになる。

仮需要が発生した9月の新ジャンルの販売数量はキリンビールが117%、サントリービールが115%、サッポロビールが136%、アサヒビールは売上金額ベースで約120%と、各社ともに増えている。

主要ブランド別ではアサヒ「クリアアサヒ」104%、「アサヒ ザ・リッチ」は単月で105.4万箱、累計624.5万箱に達し、販売目標を当初の400万箱から約2.4倍の950万箱に上方修正した。これは「本麒麟」初年度と同等の数字だ。

キリン「のどごし〈生〉」は100%、「本麒麟」152%、サントリー「金麦」113%、特に「同〈糖質75%オフ〉」136%、サッポロ「麦とホップ」87%、今年発売の「ゴールドスター」は引き続き好調だ。

関係者の多くは「想定を上回る」と話す。要因としては昨年の消費増税やコロナ禍からくる生活防衛意識の高まりがある。また、キリン「本麒麟」のヒット以来、各社がよりビールの味に近づけたという本格系新ジャンルを相次いで投入したことで市場が活性化したことも挙げられるだろう。

一方でビール類4社計は93%と減少。昨年の消費増税前駆け込み需要の反動や、コロナ禍で狭義のビールが打撃を受けたことが要因だ。アサヒ82%、キリン96%、サントリー104%、サッポロ93%。

昨年10月は消費増税直後の影響で減少したための反動増も含まれるが、メーカーや小売の訴求も奏功して10月に入ってからは家庭用ビールが好調だ。主要ブランド缶の10月上旬実績は、アサヒ「スーパードライ」ブランド計で二ケタ増、缶は150%。キリンも150%、サントリーは190%弱、サッポロ「黒ラベル」缶が約170%だった。

これらの数字は一時的との見方は多いが、それでも10~12月の缶ビールは1割増程度で推移するとの声も聞かれる。

各社ともに減税を機にビールの拡大に力を入れる。アサヒ「スーパードライ」では6缶パックのデザインを刷新。10月30日には「同工場できたてのうまさ実感パック」発売、新CM投入など飲用者拡大の取り組みを強化し、10~12月は缶容器で前年同期比10%増を目指す。

キリンは健康意識の高まりに配慮した「一番搾り 糖質ゼロ」を今月発売。ラガーを刷新し、クラフトビールにも注力する。

サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」の好機とみて「一杯目の神泡」を店頭などで訴求。併せて「神泡サーバー2020」付き商品も投入し、業務用でも飲用時品質を意識した取り組みを行う。

サッポロは10~12月にアパレルブランドのBEAMSとのコラボ商品を発売。業務用「サッポロラガービール(赤星)」でも10月20日に缶商品を数量限定で投入した。

家庭用への反応が良い反面、業務用の回復が懸念される。樽商品は回復傾向がみられるが、宴会需要がほぼ消滅したことから瓶ビールの回復は遅い。家庭用が業務用減少分をカバーすることは難しいが、当面は缶に注力することになるだろう。