ほうじ茶飲料が拡大 コロナ禍でも茶葉に流出せず 苦渋み少なく甘香ばしい香りが特徴

ほうじ茶飲料が拡大している。市場規模は4千500億円規模と推定される緑茶飲料市場の1割にも満たないものの、ラテやスイーツに活用されるといったほうじ茶(茶葉)そのもののブームも手伝い、緑茶飲料を上回る伸長率で推移している。1-7月販売実績は、ほうじ茶飲料を含む緑茶飲料市場全体がコロナ禍により自販機とコンビニが打撃を受けたことで微減かほぼ横ばいとみられる中、ほうじ茶飲料だけで見ると一ケタ台と若干鈍化しつつも成長を維持している。

この根強い人気の背景について、トップの伊藤園は「お茶の生産地から離れている地域でも、昔からほうじ茶を飲む文化がある。3、4年前から緑茶に比べ苦渋みが少ないことから、全国的なブームになっている」と説明する。

ほうじ茶は緑茶を焙じたもので家庭でもつくれるが、コロナ禍で在宅時間が増えたことによる茶葉商品(手いれのお茶)へのシフトはあまり見られず、この点が1-7月の成長要因とみられる。一方、緑茶飲料や麦茶飲料は相当数が手いれに流出したと推定される。

伊藤園の「お~いお茶 ほうじ茶」は、100%一番茶を使用している点が特徴。3種類の焙煎茶葉をブレンドし、抽出にも工夫を施して苦味を出さずにほうじ茶独特の甘香ばしい香りを引き立てている。

コールド商品では現在、紅葉をデザインしたパッケージを展開。ホット商品は500㎖・345㎖・275㎖すべてを電子レンジ対応ペットボトル(PET)で販売している。

「コロナ禍において生活様式が変わり、家で飲みたい時に電子レンジで温められ、時間をかけて飲むことで冷めてしまっても再加温して楽しめる。ホットのほうじ茶がブームになるきっかけの一つであったので、秋冬の飲用拡大に期待したい」(伊藤園)と述べる。

キリンビバレッジは「生茶」ブランドから5年ぶりの新商品「生茶 ほうじ煎茶」を発売。同商品は、まる搾り生茶葉抽出物を使用したほうじ茶飲料で、茶葉の焙煎にも工夫し“しっかり濃いのに、すっきり軽やかな”味わいに仕立てられている。

キリンでは、ほうじ茶飲料の高い市場成長性とカテゴリーへの期待値の高さの2つに着目している。

市場成長性では、同じ茶色系の無糖茶飲料では、むぎ茶飲料も近年拡大し、ほうじ茶飲料の3倍強の市場規模を持つが、「いつでもだれでも飲めるという利便性が選択理由になっており、コロナ禍で手いれに流出している動きもあり、カテゴリーに対する期待値は低い」(キリン)とみている。

同社がほうじ茶飲料に攻め入るに当たっては、中味に加えて「生茶」ブランドを前面に押し出していく。

同社が行ったグループインタビューによると、消費者の意識としては、ほうじ茶そのものに価値を見い出し、ブランドの独自性が希薄であることが判明したという。

この点に商機を見い出し「『ほうじ煎茶』と少し独自性のある商品名で品質感を感じてもらい、“『生茶』のほうじ茶が飲みたい”と指名買いされるようにしていきたい」と意欲をのぞかせる。

サントリー食品インターナショナルは「伊右衛門」本体(緑茶)が絶好調となる中、「伊右衛門 焙じ茶」も好調に推移している。秋に向けては「伊右衛門 焙じ茶〈秋の味わい〉」へとリニューアル発売。同商品は「伊右衛門 焙じ茶」の特徴を保ちつつも寝かせ茶葉と釜炙り茶を使うことで、深みとコクがありながらも軽やかな香りを打ち出している。

現在、食との提案を強化しているコカ・コーラシステムの「綾鷹」ブランドもほうじ茶に注力している。「綾鷹 ほうじ茶」の1―6月累計販売実績は「前年を大きく上回り、非常に良い状態にある」(日本コカ・コーラ)という。

同じくポッカサッポロフード&ビバレッジの「加賀棒ほうじ茶」も、ユーザーから支持されている香りを強調するパッケージに刷新して3月2日から発売したところ、メーンの500㎖PETが好調。1-6月で二ケタ増を維持している。