新型コロナによる変化は「ビジネスチャンス」の発想を イオン・吉田昭夫社長

「食品を中心に、生活必需品の安定供給をとにかく行うというのが第1四半期。第2四半期、まずは防疫ということで『防疫プロトコル』を設定し、その上で営業活動を本格的に再開するという手はずを踏んだが、業績の回復は想定よりもかなり早かった」(吉田昭夫イオン代表執行役社長)というように、業績が急回復しているイオン。小売業は感染防御と経済の両立という課題に直面しているが、第2四半期決算発表の席上、吉田社長が下期の見通し、同社の取組み方針などについて語った。

  ◇  ◇

下期は、経済の部分では新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のダメージが顕在化する期間だろうと捉えておかなければいけない。特に、雇用の悪化による個人消費、購買力の低下は懸念材料だ。われわれのビジネスからすれば、お客さまの価格感度、節約志向は高まる、そういった場面が、ここかしこで出てくるだろう。従って価格競争力のある売場作り、商品提供を行っていかなければいけない。

10月の酒税増税のタイミングだったが、PB「トップバリュ」の主力商品で第3のビール「BARREAL(バーリアル)」の価格据え置きという対応をとった。生活応援のメッセージとして、イオンの思いを込めたものだ。新型コロナに加え、インフルエンザの懸念も広がっている。免疫力を高めたいとか、健康意識だとかは定着してくるのだろう。ヘルス&ウエルネスの事業領域については引き続きマーケットが拡大していく。ドラッグ事業には力を入れていかなければいけない。

現在、「GoTo キャンペーン」などにより、(人の)移動が活発化してきた。モールの客数もかなり回復し、昨年並みにまで戻ってきている。感染症予防の意識が少し弱まっている感があるが、われわれは全く逆で、6月に制定した「防疫プロトコル」をもう一度、現状に合わせて見直し、防疫基準をはっきりさせた上で営業していくことを考えている。安全面がきっちりしている施設は、お客さまの信頼を得て、今後の店舗戦略のお客さまの大きな基準になると思っている。

今後の経営環境の認識だが、新型コロナの直接的な影響は去っても、行動だとか、意識だとか、価値観だとかは、部分的には継続、定着するだろう。しばらくはマクロ経済のインパクトも、マイナスインパクトが続くと考えている。新型コロナ以前から、社会のデジタル化は課題と言われていたが、これは今後、加速度的に進むものと考えている。気候変動も常態化するだろう。健康志向は、今回の新型コロナで加速する。企業として、変化対応のスピードを上げることが重要になってくると考えている。

これからの社会のルール、生活のツールはデジタルが普通になってくる。ということは、デジタルを前提としたルールが、企業活動の前提になる。ESGの取り組みも、気候変動が常態化する中では、企業評価としては避けられない。環境に配慮するということを、ここかしこで企業努力をしていかなければならない。こうした経営環境の認識だとか危機感は、われわれグループとして共有している。変化のあるところには、ビジネスチャンスや機会が生まれてくるという発想も持ってやっていきたい。